北朝鮮が、しばらく控えていた公開処刑を再開したもようであることは、12日の本欄でも伝えた。咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋が韓国デイリーNKに対し、「2月初め、咸興(ハムン)市の沙浦(サポ)区域にあるヨンデ橋の下の空き地で、薬物密売人の男が公開銃殺された」と知らせてきたのだ。
(参考記事:玄永哲氏の銃殺で使用の「高射銃」、人体が跡形もなく吹き飛び…)これに続き、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)も同様の報道を行っている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋がRFAに対し、今年に入ってから現地当局が社会秩序の維持という理由で公開裁判、公開処刑を再開したと伝えた。
今年2月と3月には、清津(チョンジン)市内中心部で公開裁判が行われたが、後者には市内の工場、企業所、人民班(町内会)から数万人の住民を動員し、被告が死刑判決を受け、その場で銃殺される一部始終を見ることを強いたという。
(参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態)一方、市内の水南(スナム)市場のそばの河原でも公開裁判が行われ、被告女性3人のうち、2人に死刑判決が下され、執行された。3人の罪状は「迷信行為」、つまり占いだった。
3人は「七星組」というグループを作り、「神が乗り移った」という3歳と5歳の子どもに占いをさせ、金品を受け取り、全国を回っていたという。北朝鮮では庶民から党幹部、占いを取り締まる立場の司法機関の幹部に至るまで、何か重要なことをする前に運勢を見るのが一般化しているが、当局はそれを体制維持のリスク要因とみて処刑したものと思われる。
(参考記事:北朝鮮で拡散する「2019年金正恩終末論」)人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面
ちなみに、北朝鮮の刑法256条は、金品を受け取って迷信行為を行った者は、1年以下の労働鍛錬刑(懲役刑)に処すと定めている。刑法附則11条は「例外的に無期労働刑(無期懲役刑)、死刑を適用できる範囲として、複数の行為の罪状が非常に重い者、全く悔悛していない者を挙げている。つまり、誰でも死刑にできるということだ。
別の情報筋によると、当局が非社会主義現象の根絶を叫び、取り締まりを行っているが、それに従う人はほとんどいない。密輸、他の国なら違法にならない物品の販売など、生きていくために仕方なく違法行為を行うのはもはや日常茶飯事となっているのが実情だ。
その一方で、凶悪犯罪も多発している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面今年2月には、清津市内の浦港(ポハン)区域で強盗を繰り返していた15〜16歳の中高生が逮捕された。彼らは群れをなして夜道を歩く人を襲撃、金品を強奪するなどの行為を繰り返し、一時期は夜道から人影が消えるほどとなった。未成年者との理由で重罪は免れたという。
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