「この国はもうすぐ滅びる」北朝鮮国民が嘆く薬物汚染の末期症状

韓国のデイリーNKと同一グループの対北短波ラジオである国民統一放送は最近、「北朝鮮の正常国家への道」というテーマで韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使とユン・ヨサン北朝鮮人権情報センター(NKDB)所長との対談を放送した。対談のテーマは、北朝鮮の薬物汚染である。

北朝鮮で覚せい剤がまん延する実態を巡っては最近、金正恩党委員長が視察したこともある格式高い中央行政機関・国家科学院までが密造に関わっているとの疑惑が持ち上がっている。かつてのように、国家ぐるみで麻薬や覚せい剤を生産しているわけではないが、資金に窮した機関や個人が、ことごとく薬物ビジネスに手を染めているのだ。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

一方、金正恩氏はこうした薬物蔓延を深刻な問題としてとらえている。一般庶民だけでなく、高級幹部の間でも薬物は蔓延しているようだ。金正恩氏は2013年に叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑した。北朝鮮メディアはこれを伝える記事で、「思想的に病み、極度に安逸に流れたため麻薬を使い、党の配慮によって他国に病気の治療で行っている期間には外貨を蕩尽し、賭博場にまで出入りした」など、張成沢氏が薬物を乱用していたことを断罪している。

張成沢氏の場合は濡れ衣の可能性もあるが、党幹部の間にも薬物依存者が存在するのは事実のようだ。

北朝鮮で薬物が蔓延する理由として、NKDBのユン所長は次の4点を挙げた。

▼北朝鮮では医療用と販売用麻薬の区別がほとんどない。
▼原料となる物質の生産、流通、消費が体系的に管理されていない。
▼薬物関連の法律もあり規定もあるが、適切に管理されていない。
▼薬物を取り締まり管理すべき立場の人々が率先して薬物を流通させている。

ユン氏によると、北朝鮮の住民の30%以上が薬物使用の経験があり、多くが中毒に陥っているという。深刻なのは妊婦や青少年の間でも蔓延していることだ。最近の北朝鮮では次のような言葉が流行しているという。

「友達の家に遊びに行くとピンドゥ(氷毒=覚せい剤)を一緒にキメるのが最高のおもてなしだ」

ユン氏によると、北朝鮮当局はキャンペーン的な取り締まりと統制だけで問題を解決しようとしているという。しかし、薬物が流通するネットワーク、生産設備、原料を生産する施設などを根絶していかない限り、問題解決には至らないと指摘する。

薬物に対する取り締まりを強化しようにも、一部の当局では不正腐敗が蔓延している。押収された薬物が腐敗した幹部たちの金儲けのため、横流しされることもあるのだ。こうした状況に対して国民たちは「この国は近いうちに滅びるだろう」と嘆いている。実際、日本に在住するある脱北者の女性は、北朝鮮を離れる決定的なきっかけは薬物の蔓延だったと証言している。

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