北朝鮮の平安北道(ピョンアンブクト)では、大規模な検閲(査察)が行われている。それもかつてないほどの規模で長期間に渡っているとのことだ。
(参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態)現地のデイリーNK内部情報筋によると、朝鮮労働党の検閲委員会は昨年12月20日から、税関など国の機関、工場、企業所などに対して非常に厳しい検閲を行っている。検閲委員会とは、反党、反革命的宗派(分派)行為や党規約違反を摘発し、責任を追求する組織だ。
北朝鮮ではこうして、特定地域に対する検閲が抜き打ちで行われる。過去に行われた同様の検閲で、最も厳しかったと言われるのが1995年に両江道(リャンガンド)に対して行われたものだ。
当時、検閲を担当した軍の保衛司令部は、道内だけで少なくとも19人を公開銃殺にしており、非公開で処刑された人々も加えたら、いったいどれほどの犠牲者が出たかもわからないという。
北朝鮮の公開銃殺は、従来のやり方でも十分に残酷なのだが、保衛司令部のやり方は輪をかけてひどかった。普通は胴体を狙って9発の銃弾を撃ち込むのだが、保衛司令部はその全弾を頭部に浴びせたというのだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面これについては以前にも本欄で触れているが、実は、保衛司令部がこのような銃殺方法を採用したのには伏線があった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の解説記事によると、社会で思想の統制が乱れ、風紀が乱れているとの報告を受けた金正日総書記が「頭の腐った奴らは頭蓋骨から吹き飛ばしてしまえ!」と命令したというのだ。
ちなみに息子の金正恩党委員長は、公開銃殺で大口径の4銃身高射銃を使用させ、頭どころか体ごと粉々にするやり方をさせている。この父にして、この子ありといったところだろうか。
通常は20日程度で終了する検閲だが、今回は史上最長の3ヶ月に及ぶ見込みだという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面情報筋によれば、市民は口々に「今回は厳しい」「恐ろしい」「捕まればヤバい」などと語り、町には緊張した空気が漂っている。北朝鮮で生きていくには、多かれ少なかれ法に触れる行為をせざるを得ないからだ。
今回は主に幹部が検閲対象となっているようだが、一般市民とて無事とは言えないからだ。密輸で生計を立ててきた人も、息を潜めて検閲が終わるのを待っているという。