北朝鮮で「ダム崩壊」の危機…軍兵士らの死亡事故も多発

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の三水(サムス)発電所で、ダム壁の隙間から水漏れが起き、発電できなくなってしまった。ダム壁はコンクリートではなく、砂利と小石を積み上げただけのもので、少しの亀裂がダムの崩壊に繋がりかねない。

こうした問題の原因は、質より工期を重要視し、人命被害すら気にかけない北朝鮮版やっつけ仕事「速度戦」にあると思われる。

たとえば、北朝鮮史上最大のプロジェクトとなる端川(タンチョン)発電所建設でも動員された兵士や民間人の死亡事故が相次いでいる。

ただ、北朝鮮の水力発電所が抱える問題は、気候によるものがより大きいかもしれない。三水は、雨の少ない朝鮮半島の中でも最も、特に降水量が少ない地域だ。昨年12月の降水量はわずか9.8ミリだった。ソウルの16.4ミリ、釜山の59ミリ、東京の44ミリと比べれば、その少なさは歴然だ。

また、平均最低気温は氷点下2.2度だ。現地出身の脱北者は、寒さでダム湖が氷結し、発電に問題が生じることがよくあったため、投資に見合った発電ができるのかと疑問を呈している。

それでも、金正恩党委員長は「水力発電頼み」から抜け出せずにいる。同氏は昨年7月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)にある漁労川(オランチョン)発電所の建設現場を視察した際、現場責任者の怠慢ぶりに激怒。完成を早めるよう厳命した。

金正恩氏は3年前、スッポン養殖工場をした際にも管理不備に激怒。支配人を銃殺させ、その視察時の動画をテレビで放映させたことがある。金正恩氏から叱責された建設現場の幹部たちが、あのときと同じ恐怖に襲われたであろうことは容易に想像できる。

金正恩氏としては、国内の慢性的な電力不足を緩和するため、より多くの水力発電所を稼働させたいのだろう。しかし、いくら発電所を増やしたところで、気候的な制約から来る非効率はいかんともし難い。それを無視して政策をゴリ押しすれば、いずれ経済全体に悪影響が及ぶ。

北朝鮮の電力難を解決するにはやはり、早期に非核化を行い、外国に高効率の火力発電などのための技術支援を仰ぐほかないのだ。

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