北朝鮮の「ポンコツ軍隊」が日本の脅威であり続ける理由

米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)は21日、北朝鮮北西部の新五里(シノリ)に、中距離弾道ミサイル「ノドン1号」が配備されている「未公表のミサイル基地」があるとする報告書を発表した。報告書で示された推定によれば、基地には戦略ロケット軍ノドン旅団の司令部が置かれ、朝鮮半島全域と日本の大半に位置する標的に対して核弾頭または通常弾頭による先制攻撃を行う任務を与えられているという。

CSISは昨年11月の報告書で、北朝鮮国内に未申告のミサイル基地が約20カ所あり、うち13カ所を特定したと発表していた。

その際にも指摘したことだが、北朝鮮のミサイル基地について「未申告」とか「未公表」とかの説明を付け、情報の価値を強調するのはおかしなことだ。

北朝鮮は米韓に対して非核化を約束しているが、武装解除するとまでは言っていない。いかなる国際的な条約や約束によっても、北朝鮮はミサイル基地を申告したリ廃棄したりする約束を負ってはいないのだ。

北朝鮮が非核化を巡ってどんな約束をするにせよ、自衛の権利は残る。もちろん、米国は北朝鮮との交渉で、自国を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の全廃を要求するだろうし、それにより十分な対価を得られると納得すれば、金正恩党委員長はそれに応じるだろう。

しかしそれが、日本を射程に収める中・短距離の弾道ミサイルにまで及ぶとは限らない。むしろ北朝鮮は日本の軍事的脅威を強調し、弾道ミサイル戦力の温存に固執しそうな姿勢を見せている。

そもそも北朝鮮の朝鮮人民軍は、兵力規模こそ大きいものの、本格的な戦争には耐えられない「ポンコツ軍隊」に成り下がっている。

例外的に脅威と言えるのは、弾道ミサイルを運用する戦略軍や特殊部隊など、一部のエリート集団だけだ。特に日本に対しては、弾道ミサイルが唯一の権勢手段であると言える。また、日本が北朝鮮を信用しないのと同様に、北朝鮮も日本のことを信用してはいない。そのような状況下、はるかに国力の勝る日本に対し、北朝鮮が進んで「丸腰」になることは考えにくい。

仮に日本が、北朝鮮が自国にとって軍事的に無害な存在になることを望むなら、日本政府は自らの努力によってそれを達成しなければならない。しかし現状、日本政府にそのような戦略は存在しないのである。

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