「韓国は正気なのか!?」なじられても親北に向かう文在寅政権のDNA

韓国国防省が2年に一度刊行している「国防白書」の最新版(2018年)から、「北朝鮮政権と軍は敵」という表現が削除された。北朝鮮を「敵」とする表現は1995年版で初登場し、その後は出たり消えたりを繰り返してきた。現在、韓国と北朝鮮が対話を進めていることを踏まえれば、今回の国防白書から「北朝鮮は敵」との表現が消えたのも、さほど驚くことではないかもしれない。

とはいえやはり、朝鮮半島情勢の大きな流れを見るとき、こうした動きが北朝鮮の金正恩党委員長のリードの下に生まれているとの印象を、完全に拭うことはできない。

北朝鮮の巧みな外交術のベースとなっているのは、徹底した「原則論」である。そして、対韓国におけるそれは、「わが民族同士」だ。米国をはじめとする外部の影響を徹底的に排除し、朝鮮半島の問題は「民族自主」の原則で解決しようというものだ。

これはシンプルなようで、多角的な外交関係を持つ現代の民主国家には、なかなか適用しにくいものだ。韓国は米国をはじめ国際社会との協調を抜きにして、安全保障も経済も成り立たない。北朝鮮はそれを知っていて「わが民族同士」を韓国に押し付けてきたのだ。時に、韓国の姿勢が気に入らないと「お前たちは正気なのか」と上から目線でしかりつけ、ゆさぶりを強めるのである。

もともと文在寅政権を支える韓国の左派は、「民族自主」のお題目に弱い。政権や与党幹部の中には学生運動時代、我が道を行く北朝鮮に憧れていた人々が数多くいる。時に、対北対応を巡って米国の「韓国パッシング」が取り沙汰されるが、その原因は文在寅政権のDNAにあるとも言えるのだ。

金正恩氏は今年の施政方針演説「新年の辞」においても、民族自主の原則を例年にも増して強調した。経済政策などに対する批判から支持率が低迷する文在寅政権は、ほとんど唯一の成果とも言える南北対話を、絶対に失うことが出来ない。つまりそれだけ、金正恩氏に足元を見られやすくなっているというわけだ。

民族自主は決して悪いことではないが、あまり急激に深入りすると、国際協調に戻るのが困難になりかねない。

果たして今の文在寅政権に、その微妙な速度調節をする心理的余裕があるだろうか。



    関連記事