北朝鮮、日本政府に「徴用工」問題への介入を予告

共同通信が12日付で報じたところによると、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は昨年12月、日本の植民地時代に徴用されるなどした朝鮮半島出身者の「強制動員」問題を日朝交渉で取り上げる用意があると、モンゴルを介して日本政府に伝えていたという。

これはつまり、いま日韓の摩擦の種となっている従軍慰安婦問題や徴用工問題に、北朝鮮が介入してくるということを意味する。

昨年来、対話の続いている北朝鮮と韓国だが、必ずしもすべての面でうまく行っているわけではない。北朝鮮は韓国に対して強い不信感を示してもいる。

金正恩党委員長は1月1日に行った施政方針演説「新年の辞」で、南北対話からは外部勢力、すなわち米国の影響を徹底して排除すべきだと強調した。韓国の文在寅政権は、イデオロギー的にはこれに共鳴しているかもしれないが、実行できるかどうかは別問題だ。

そんな中、日本を相手にした歴史問題は、南北が協調しやすい問題ではある。

ちなみに共同によると、李容浩氏は「日本が拉致問題にこだわり続けるなら、提起せざるを得ない」と警告したという。しかし、この前提には何の意味もない。日朝交渉で、日本が拉致問題を取り上げないことなど絶対にあり得ないし、日本が拉致問題に言及しようがしまいが、北朝鮮が強制動員の問題を重要議題とするのは明らかだからだ。

北朝鮮は昨年の段階ですでに、日本に対し、この問題で強い要求を行うことを示唆している。朝鮮労働党機関紙・労働新聞は11月11日付の論説で、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟の確定判決を支持すると同時に、判決を拒否する日本政府を非難。

続けて、日本が戦時中に「840万人余りを誘拐、拉致、強制連行して戦場や重労働に送り込み、20万人の女性を性奴隷にした」と主張し、「日本の過去の罪悪に対する謝罪と賠償を必ずや百倍千倍にして受け取って見せる」と強調した。

こうした主張のディテールについてはさておくとしても、日本政府は決して、北朝鮮のこうした姿勢を軽視すべきではない。日韓が1965年の国交正常化に際して締結した請求権協定では、日本が韓国に3億ドルを無償供与することなどで、国と国民の間の請求権問題については「完全かつ最終的に解決された」とされている。

日本側はこれを根拠に韓国最高裁の判決を「あり得ない」としているわけだが、言うまでもなく、日本と北朝鮮の間には請求権協定のようなものは存在しない。完全に白紙の状態なのだ。

また、戦争中の日本の行動を記録した資料の多くは、1965年には埋もれた状態にあったが、その後の研究で大量に発掘された。北朝鮮はそれらを韓国や中国はもちろん、日本国内や米国からも入手し、日本政府にぶつけて来るだろう。

日朝間で「歴史バトル」が始まったら、その激しさは日韓間のそれの比ではないかもしれない。

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