「日本は謝罪だけしていろ」北朝鮮の対日非難に透ける裏事情

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は5日、ドイツ政府が最近、ナチスの迫害を受け英国に逃れたユダヤ人生存者に賠償金を支払うと発表したことに言及し、日本も過去清算を行うことが「将来のために必要」だとする論評を掲載した。内閣などの機関紙・民主朝鮮も6日、これとほぼ同じ内容の論評を載せ、「日本がやるべきことは謝罪と賠償だけだ」と主張した。

これが今年、北朝鮮が日本に向けて発した「第一声」と言える。

北朝鮮軍は弱体化

北朝鮮は昨年の秋頃から、歴史問題での対日非難を強めてきた。例えば従軍慰安婦問題では、旧日本軍が慰安婦を虐殺した映像とされるものなど、新資料にも言及。日韓がこの問題で再び揉めるのを横目に、日本に対して強硬な姿勢を打ち出した。

しかし昨年の年初から夏までにかけては、国際社会の対北制裁維持を主張する日本に反発する論調が主となっていた。一昨年までの核・弾道ミサイル開発から、米韓との対話に大きく舵を切った金正恩党委員長は、日本の「妨害」により対話が上手く行かなくなることを恐れていたのだろう。

6月に史上初の米朝首脳会談が実現し、さらに9月に同年3回目の南北首脳会談が行われてからは、金正恩氏もほかのテーマに目配せする余裕が出てきたのかも知れない。前述したとおり、日本に対して過去清算を迫る論調が増えたのに続き、日本の軍備強化に対する非難も加わった。

北朝鮮が日本の軍備強化を非難する主な目的は、おそらくは弾道ミサイル戦力を極力温存するためだ。日本の「脅威」を強調することで、自衛のために短・中距離の弾道ミサイル戦力を維持しようとしているのだ。北朝鮮軍は装備のほとんどが老朽化し、また軍紀のびん乱で弱体化が進んでいるため、「虎の子」の弾道ミサイル戦力をそう簡単に手放せない事情があるのだ。

今年の北朝鮮は昨年に続き、歴史問題と軍備増強問題で、対日非難を強めていくものと考えられる。

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