人身売買団のワナにはまった「ある少女」を待ち構える運命

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トランプ米大統領は11月29日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

これに対し北朝鮮は、朝鮮労働党機関紙・労働新聞が12月11日付の論評で「言いがかりだ」とするなど強く反発した。論評は「米国の今回の挑発行為は、朝鮮の尊厳あるイメージをどうしてでもダウンさせ、制裁・圧迫の雰囲気をより鼓吹してみようとするものだ」と主張した。

しかし、北朝鮮女性の人身売買が横行しているのは、あまりに明白な事実だ。北朝鮮国内での人権侵害については、同国政府が許可しないため国内での調査が難しいが、こちらの問題は現地からの情報も積み上がっている。

北朝鮮事情に精通した中国のデイリーNK情報筋によると、両江道(リャンガンド)に住んでいた少女は最近、何らかの理由で川を渡って中国に行こうとしたところで、人身売買団に捕まってしまった。

人身売買団は家族に電話をかけ「1万元(約16万3000円)を払わなければ、娘を中国で売り飛ばす」と脅迫してきたという。身代金は一般庶民には到底払えない額であることから、情報筋は人身売買団が、少女が経済的に余裕のある家の出で、脱北しようとしていたことを事前に察知、当初から身代金目的で拉致したものと見ている。

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このように犯罪組織のワナは、いたるところに張り巡らされている。

運良く脱北に成功しても待ち受けているのは、監禁、拉致、強制的な性産業の従事、強制結婚などのリスクだ。

さらに由々しきは、こうした女性らは北朝鮮に戻っても、犯罪者扱いされることが多いという事実だ。中国当局は、人身売買の被害者であれ何であれ、脱北者を逮捕して強制送還する。そこで女性たちを待ち構えているのは、拷問、強制堕胎、性暴力だ。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が最近発表した、北朝鮮における女性に対する性暴力の実態をまとめた報告書は、拘禁施設で脱北後に強制送還された女性に対する性暴力の実態について最も多くのページを割いて伝えている。