死者数千人の前例も…北朝鮮で列車事故が多発

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今月8日、韓国の江陵(カンヌン)で高速鉄道KTXが脱線する事故が発生した。鉄道を運営する韓国鉄道公社(KORAIL)のオ・ヨンシク社長は11日、相次ぐ事故の責任を取って辞任を表明した。

オ社長は、李明博政権以降に進められてきた民営化が事故多発の根本原因にあるとしている。KORAILでは前身の鉄道庁時代を含めて、多数の死者を出す事故はこの20年起きていないが、2011年以降で脱線事故が8件、追突・衝突事故が4件起きている。

軍事境界線の北側の北朝鮮でも今年、複数の鉄道事故が起きており、今月に入りまたもや発生した。幸い大事故には至らなかったが、北朝鮮では世界最悪級の鉄道事故が何度も発生している。1996年には慈江道(チャガンド)で、屋根の上にも乗客が乗るほどのすし詰めの列車が谷底に転落、乗客の多くが死亡した。死者数は5000人に及ぶとの説もある。

(参考記事:谷底に広がった凄惨な光景…北朝鮮で列車が転落「死者5000人」説も

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、今月3日、富寧(プリョン)郡にある古茂山(コムサン)駅で、食糧を積んでいた貨物列車が脱線した。幸いにして負傷者は発生しなかった。

この駅は清津(チョンジン)から会寧(フェリョン)を経て羅津(ラジン)に向かう咸北(ハムブク)線にあり、茂山(ムサン)に向かう茂山線が分岐している。

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セメントや鉄鉱石など貨物輸送の要衝で、地域住民が動員され復旧作業が進められているが、装備がなくほぼ人力に頼っている上に、周辺には軍部隊がなく、兵士の投入も困難だ。さらに、大型機械を取り寄せるには鉄道を利用するほど道路事情が劣悪な山間部にあるなど、複合的要因で復旧が遅れ、12日の時点でも列車の運行が再開できていない。

食糧は一般住民向けのものではなく、保衛員(秘密警察)や保安員(警察官)向けの配給であるとされる。それを知った住民の間からは、「自分のものでもない食糧のためになぜ作業に動員されるのか」と不満の声が上がっているという。このような不満が、様々な形のサボタージュにつながることは言うまでもない。

保安員が作業状況を点検、人員を監視しているため、おこぼれに預かる、つまりは回収して食糧を横流しすることも難しい。これではますますやる気が出ず、復旧は遅れるばかりだろう。

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事故原因は明らかになっていないが、おそらく老朽化のためだと思われる。この区間は、朝鮮半島が日本の植民地支配下にあった1916年に開通、1950年代から1970年代にかけて広軌化、電化されたが、長年まともな補修が行われておらず、線路状態が劣悪であることが知られている。

今回は幸いにして大事に至らなかったが、上述した事故以外にも、北朝鮮では未曾有の大飢饉「苦難の行軍」のころを中心に、桁外れの大事故が何度も起きている。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)では1997年、停車中だった火薬25トンを積んだ貨物列車5両が火災を起こし、大爆発を起こした。到着した通勤列車が巻き込まれ、3000人が死亡し、1万人が負傷したといわれている。