米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、トランプ米大統領は11月29日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。

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今回の制裁指定により、人道主義的目的の支援を除く北朝鮮とのほとんどすべての交流・支援プログラムについて、米国の資金拠出が禁止された。また国際通貨基金(IMF)など国際金融機関に出向している米国人スタッフは、当該機関から北朝鮮に対して資金提供が行われないように努力する義務を帯びる。

今回の措置は、米国務省が6月28日に発表した人身売買に関する年次報告書を受けたものだ。同報告書は北朝鮮について「人身売買撲滅に向けた最低限の水準を満たしておらず、取り組みもしていない」と指摘し、4段階評価のうち最低評価に据え置いた。北朝鮮は16年連続で最低評価だ。

ちなみに、同報告書では中国も昨年に続き下から2番目の評価だった。国務省は、脱北した北朝鮮女性が中国で売春や結婚を強要されていることや、当局が人身売買被害者を北朝鮮に強制送還していることを問題視しているのだ。

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一方、聯合ニュースなどによれば、韓国の文在寅大統領は、アルゼンチン・ブエノスアイレスで20か国・地域首脳会議(G20)に合わせてトランプ氏と11月30日に会談した際、金正恩氏へのメッセージを託されたとして、次のように語ったという。

「メッセージはこうだ。トランプ大統領は金(正恩)委員長に対してとても友好的な考えを持っていて、金委員長のことが好きである。だからこそ、金委員長が(非核化に向けた)合意事項の残りを実行することを願っているし、そうすれば、金委員長が望んでいることをかなえるつもりだ」

トランプ氏の言う「金正恩氏が望んでいること」が何を意味しているかはわからないが、彼がそれを「かなえてやる」のは極めて難しいだろう。米国の北朝鮮に対する制裁は、核兵器開発に対してだけ課されているわけではなく、人権問題もまた重要な対象となっている。

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そしてそれらは、たとえ大統領といえども簡単に解除することはできない。金正恩氏とて、この間の米国とのやり取りで、そのへんのことは十分に学んだはずだ。

今後の米朝関係は、もはやこのようなリップサービスで動く性格のものではなくなっていると思うのだが。