11月25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」だ。世界各地ではこの日に合わせ、国連女性機関などの主導により、暴力のない明るい未来を象徴するオレンジ色を使った様々な行事が開かれる。

ニューヨークの国連本部では19日に記念行事が行われた。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)はこの行事に合わせ、国連女性機関の幹部にインタビュー。

同幹部は、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が発表した北朝鮮の女性虐待に関する報告書の内容に注目しているとしながら、「女性に対する暴力の加害者が処罰されないことは、深刻な2次被害であり、絶対に黙認してはならない」と強調した。

(参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

HRWが先月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」は、金正恩党委員長が政権を継承した2011年以降に脱北した54人と、脱北した北朝鮮の元公務員8人を対象にしたインタビューを元に作成されたものだ。北朝鮮における性暴力の現状と、それを生み出す社会的土壌について詳しく解説されている。

(参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」暴露された金正恩時代の性暴力

HRWが、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」を見据えたタイミングで報告書を発表したのは明らかだ。また今月15日には国連総会第3委員会で、北朝鮮における人権侵害を非難する決議案が採択された。同決議案は来月中旬、国連総会本会議で採択かけられる。

北朝鮮における女性虐待の深刻さは久しく前から指摘されていることだが、このような動きを経て、国際的な認識が深められる意義は大きい。

米韓との非核化交渉を経て、「普通の国」への変身を狙っているように見える北朝鮮だが、人権問題を巡る国際世論のハードルは、実は核問題よりも高いと言える。核兵器は、政治・経済的利益と見返りに取引も可能だが、恐怖政治で体制を維持している北朝鮮にとって、人権は国家の根幹にかかわる問題だからだ。

北朝鮮における女性虐待の多くは権力を武器に行われており、独裁者である金正恩氏は大きな責任を負っている。この問題の改善に真剣に取り組むことなしに、金正恩氏が国際社会の仲間入りをすることはできないのだ。