韓国軍の性暴力が白日の下に「被害証言、政府は黙殺してきた」

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1980年当時、全南大学4年生だったキム・ソノクさんは、案内放送係として光州民主化運動(光州事件)に参加していた。当局に逮捕、連行され、取り調べの捜査官に連れ出されて旅館で性的暴行を受けた。キムさんは今年5月8日に放送された韓国JTBCのニュースに出演し、38年前にあった出来事を初めて語った。

1980年5月、クーデターで政権を掌握しようとしていた軍部に抗い、民主化を求めてデモに立ち上がった多くの市民が武力で弾圧された光州事件(5.18光州民主化運動)。韓国政府が認定しただけで死者は165人、行方不明者76人、負傷者3515人。しかし、戒厳軍が女性に対して行った性暴力についてはほとんど触れられてこなかった。

17才の女子高生たちも

文在寅大統領は今年5月18日の光州民主化運動38周年のメッセージで「踏みにじられた女性たちの人生を抱きしめることから真実の歴史は再び始まる」「一人の人生、一女性のすべてをあまりにも簡単に蹂躙した過去の国家暴力が実に恥ずかしい」と述べ、性暴力の真相究明を行うことを明らかにした。

(参考記事:脱北女性、北朝鮮軍隊内の性的暴力を暴露「人権侵害と気づかない」

それを受けて国防省、女性家族省、国家人権委員会は「5.18戒厳軍など性暴力共同調査団」を立ち上げた。そして先月31日、民主化運動当時に性暴力があったことを公式に認めた。鄭景斗国防相は7日、「戒厳軍指揮部の無慈悲な鎮圧作戦で、罪のない女性市民に背負い切れない被害を与えたことを痛切に反省する」と述べ、頭を下げて謝罪した。

しかし、当時の実態を知る関係者の間からは「今まで政府が黙殺してきたことが、今ごろになって明らかになったに過ぎない」との反応が出ていると、光州の地方紙・全南日報が伝えている。

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同紙によれば、光州民主化運動における性暴力は、すでに18年前から知られていた。2000年に5.18民主有功者遺族会が出した「5.18精神病棟の物語 砕け散った風景」という証言集には、悪夢に苦しめられ続けた25人の被害について本人や関係者の証言が収録されており、うち2人は性暴力被害に遭っていたのだ。

2人はいずれも、当時17歳の女子高生であり、直接デモに参加していたわけでもなかった。事件後には精神を病み、1人は自ら命を絶ったという。

韓国では近年、北朝鮮における女性の性暴力被害についての告発が続いており、政府も民間もこれを強く批判してきた。

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最近では、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が、北朝鮮の女性がさらされている様々な性暴力についてまとめた報告書を発表。韓国メディアもこれを大きく扱った。

韓国国防省は今後発足する「光州民主化運動真相究明調査委員会」の調査に積極的に協力するというが、どれだけ本質をえぐった調査結果が出てくるのか。人権に対する意識は、他国の姿勢を批判するときより、自らの姿勢を検証するときにこそ発展を遂げる。

この問題は、韓国社会の現在位置を知るための、大きな試金石になると言えるだろう。