仕事を終えた医師は、自宅に道具を揃えて整形手術を行う。二重まぶたにしたり、ほくろを除去したりと言った簡単な手術は、医師が患者宅に往診して行う。整形の技術を専門的に学んだ医師がほとんどいないため、外科の医師が行うことが多いが、中には看護師が行うケースすらある。
技術を持たない医師が、衛生が保たれていない場所で執刀することで、医療事故が起きていると伝えられている。当局は整形手術を「腐って病んだ資本主義の退廃的な文化を持ち込み、わが国の社会を蝕む行為」だと非難し、厳しく規制すると医師たちを脅かしているが、効果的な取り締まりは行われていない。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、平壌や国境地域に住む女性は中国や韓国の整形手術事情について非常に詳しい。密かに流入した韓流ドラマや映画、バラエティの影響だろう。また、国境地域では中国からの情報がダイレクトに流入する。中国のテレビでは化粧品、美容グッズに加え、整形外科のCMも流されている。影響を受けた女性たちは、韓国人のような外見を得るためにありとあらゆる手法を動員するのだという。
ただ、市場経済化の進行により富裕層が出現したのは事実だが、貧困層との格差の拡大も激しい。
(参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに)特に農村は、いまだその日暮らしの庶民が大半であり、美容整形が本格的に広がるとしても、それはまだしばらく先のことだろう。
一方、医師が女性たちからの要望に応じてヤミの整形手術を行うのは、経済的に苦しい立場に立たされているからだ。
