北朝鮮の金正恩党委員長が最近、非核化や経済協力を巡って米韓と対話を進める一方で、軍事面では特殊部隊の強化に力を入れているとの情報が出ている。韓国のニュースサイト、リバティ・コリア・ポスト(LKP)によれば、金正恩氏は今年、旅団級の特殊部隊で構成された「ポップン(爆風)軍団」を10回以上も視察。自ら旅団長会議も主催したという。

朝鮮労働党中央委員会は4月20日に平壌で行われた第7期第3回総会で、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を停止するとの決定書を採択。同時に、今後は経済建設に注力するとの方針を示した。

それ以降、金正恩氏は発電所や観光リゾートの建設現場を精力的に視察しているが、それらの現場には大量の兵士たちが投入されている。建設機材が不足し、安全対策も不十分な北朝鮮の建設現場では、特に危険な作業をこなすためにも、軍の役割が不可欠なのだ。

しかし当然、兵力を建設現場に動員すれば戦力に空白は生じる。それを、特殊部隊の強化で埋めようというわけだ。

そもそも、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の一般部隊は食糧の不足や装備の老朽化、また「マダラス」や「書類整理」などと呼ばれる性的虐待の横行で軍紀が乱れ、戦力としてはほとんど頼りにならないと見られている。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

そのため、金正恩氏は早くから特殊部隊を重視。2016年12月には、韓国の朴槿恵大統領(当時)に対する「暗殺作戦」を自ら指導している。

LKPによれば、金正恩氏は「核やミサイルなど大量破壊兵器が戦争に使用される可能性は低いが、特殊部隊を投入する戦争は可能だ」とし、非正規戦能力の強化にシフトしているという。

北朝鮮の特殊部隊は精強なことで知られており、その規模も約12万人と巨大だ。核や生物化学兵器、長距離弾道ミサイル、長距離砲などの兵器は今後、米韓から削減や撤廃を求められるだろうが、特殊部隊はそうした要求の対象になりにくい。

北朝鮮の特殊部隊が今後どこまで強化され、またどのような役割を担っていくのかが注目される。