北朝鮮の非核化への対応を巡り、日米と韓国の間では隙間風が吹いているが、日韓関係はさらに大きな動揺に見舞われる可能性がある。

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米国も人権侵害を非難

日本の植民地時代に強制労働させられたとして韓国人の元徴用工4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国最高裁は30日、判決を言い渡す。

日韓が1965年の国交正常化に際して締結した請求権協定では、日本が韓国に3億ドルを無償供与することなどで、国と国民の間の請求権問題については「完全かつ最終的に解決された」とされている。

しかし韓国最高裁は2012年、個人請求権が有効だという趣旨の判決を下した。今回の判決でも、賠償命令が出る可能性が高いと見られている。原告側弁護士は今月24日、賠償命令が出た場合はただちに資産差し押さえの請求手続きに入ると表明。和解も視野に入れつつ、国内資産がない場合は国外資産の差し押さえも検討する構えをみせている。そうした動きが今後も続けば、戦後の日韓関係を土台から揺るがす問題に発展する可能性もあるのだ。

過去の歴史に起因するこうした動向は、日本と北朝鮮の関係にも影響を与える。日朝間には、請求権協定のようなものは何ら存在しておらず、過去の清算は「白紙」のままだ。

日韓が国交正常化する際にも、双方の主張の隔たりは大きかったが、東西冷戦の激化がいずれも米国と同盟を組む両国の歩み寄りを後押しした。また、日韓の国力差も現在よりはるかに大きく、韓国に自らの主張を押し通す地力はなかった。

しかし現在は、国際環境がまるで違う。日韓国交正常化はハッキリ言って、戦前を引きずる日本の保守政権と、正統性に欠ける韓国軍事政権の「手打ち」だった。その過程で、個人の人権を巡る様々な問題が切り捨てられたが、韓国の民主化や国際的な歴史検証が進む中で、今回の徴用工の主張や従軍慰安婦問題が「古くて新しい問題」として復活した。

日本と北朝鮮がこれから国交正常化に向けた交渉を始めるとしたら、北朝鮮はそれらすべての問題をテーブルに上げるだろう。また、北朝鮮は巧みに、韓国世論を自国側に引き付けようとしている。

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さらに言うなら、北朝鮮は自国の人権侵害を非難する日本に対し、歴史問題を持ち出して反論するのを常とう手段としている。北朝鮮の人権侵害を批判しているのは米国や欧州連合も同じだが、日本に対する非難にはとりわけ力が入る。

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安倍晋三首相は繰り返し、日朝首脳会談を実現させたい意向を表明しているが、果たしてその先にある国交正常化交渉についてはどのように考えているのか。本音の部分で、日朝関係の未来に対するビジョンがあるのかないのか、ぜひとも聞いてみたいものだ。

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