北朝鮮と韓国は15日、板門店(パンムンジョム)で南北高位級会談を行い、南北の鉄道・道路の連結・整備に向けた着工式を11月下旬から12月初旬までに行うことで合意した。

北朝鮮の鉄道は電力難のため、まともに運行できない状態にある。また老朽化による事故も多発している。近代化のため、韓国の資金と技術力が喉から手が出るほど欲しい状況だろう。

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しかしそんな中でも、例外はある。平壌のデイリーNK内部情報筋によれば、富裕層向けの「豪華列車」の運行が新たに始まったという。

その列車とは、平壌と中国との国境に面した新義州(シニジュ)間225キロを結ぶ「ポリ列車」だ。この区間は、最も速い北京行きの国際列車なら5〜6時間ほどで走るが、一般列車なら時刻表通りでも9時間、運が良ければ12時間、ひどい場合には2日かかる。

ポリ列車の所要時間は不明だが、情報筋の話では一般列車の2倍のスピードで走るとのことだ。スピード維持の秘訣は、その運行方式にある。

この列車は電力に頼らず、ディーゼル機関車にけん引される。燃料さえあればいくらでも走るというわけだが、機関車を所有する鉄道省には燃料を買うカネがない。そこで、「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層が鉄道省に資金を提供し、利益を7対3で分配する合弁方式で運行されているのだ。ちなみに「ポリ」とは「儲け」を意味する朝鮮語だ。

このポリ列車、ただ単にスピードが速いだけではない。ビール、ワイン、新鮮な果物などが提供されるなど、サービスも破格だ。計画経済が破たんし、なし崩し的な市場経済化が進む北朝鮮では、貧富の格差が拡大。いまだ、その日の糧を得るのに命がけの人々も少なくない。

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その一方で富裕層は、諸外国の金持ち顔負けのゴージャスライフを送っているのだ。

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また、この列車には北朝鮮特有のサービスもある。

「一般列車では列車保安員(鉄道警察)による検問が頻繁に行われ、ワイロを要求されることも多いが、特権階級が利用するポリ列車では、列車保安員が乗客の便宜を最大限に図るのだ」(情報筋)

もちろん、ポリ列車の運賃は高い。平壌から新義州までは40〜50万北朝鮮ウォン(約5200〜6500円)。一般列車の10倍以上で、庶民には高嶺の花だ。

このように鉄道運営者が民間業者に線路を貸し出し、特別列車を運行させる事例は北朝鮮に限ったことではない。ベトナム、スリランカなどでも富裕層、ビジネス客、外国人観光客をターゲットにした、民間業者が運行する列車がある。北朝鮮でも、過去に同様の列車が運行されたことがあるが、事故など様々な事情で長続きしなかった。

ディーゼル機関車の活用で走行に問題はなくなったとしても、老朽化による安全面の懸念は残る。やはり外国の協力を得て鉄道網を整備し直さない限り、列車の運行も安定しないのではなかろうか。

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