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韓国・中央日報のインタビューに答えた脱北者Bさんは、この15年で北朝鮮国内の不動産価格が大幅に上がったとして、次のように述べた。

「2003年ごろ、2万5000ドル(当時のレートで約275万円〜300万円)で取引されていた平壌の東城洞(トンソンドン)の40坪のマンションが、今では20万ドル(約2270万円)になった」

東城洞と言えば、国の重要な施設に加え、金正恩党委員長の叔母・金慶喜(キム・ギョンヒ)氏の邸宅に隣接する超一等地であり、厳重な警備体制の敷かれた地域だ。そんなところでも不動産が取り引きされていることは、厳密に言えば違法に当たる不動産取り引きが、もはや公認を得たも同然と言えよう。

国の機関ですら不動産ビジネスに乗り出しているのが今の北朝鮮だ。ある貿易機関が投資しして柳京洞(リュギョンドン)に建てられた30階建てのマンションは、1室30万ドル(約3400万円)で取引されていたとのことだ。部屋の半分はこの機関の幹部が所有し、残りは売り払った。

(参考記事:制裁で凍結の中国資本「北朝鮮マンション投資」に再開の動き

上がる一方だった平壌の不動産価格だが、今年の7月以降下落に転じ、1ヶ月で3割も値を下げた。その理由としては供給過剰が挙げられているが、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、マンションの賃貸需要が低下傾向にあることを伝えてきた。これも不動産暴落の一因と言えよう。

(参考記事:北朝鮮の不動産価格、1ヶ月で3割暴落…供給過剰か

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「賃貸住宅は以前と比べ増えたが、住もうとする人が減り続けている。対北朝鮮制裁で生活が苦しくなり、家を借りるのを負担と感じるようだ」(情報筋)

北朝鮮では、結婚した後でも国から住宅を提供されるまでは両親と同居するパターンが一般的だったが、「チャンマダン(市場)世代」と呼ばれ、個人主義的で親からの干渉を嫌う若者は、できるだけ早く親から独立しようとする。

(参考記事:「尊敬しろ」と強要され逆に金正恩氏を嫌悪…北朝鮮「いまどきの若者」事情

トンジュ(金主、新興富裕層)の中には、地域の国営企業や住宅指導員と結託し、国家住宅利用許可証の名義を変更する形で、複数の家を購入、賃貸用として所有する投資家もいるが、彼らがまさに上述したような若者をターゲットにして賃貸物件を提供してきた。当局は人民班(町内会)、保安署(警察署)に届けさえ出ていれば、特に問題視していない。もちろん、その裏ではワイロがやり取りされているのは言うまでもない。

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「需要が減少していることを見抜いた人は『家賃を負けてくれ』と交渉することが多い。しかし、一度家賃を下げると値上げが難しくなることを恐れた家主は、なかなか応じようとしない」(情報筋)

賃貸住宅の家賃の相場だが、平壌郊外の流通の中心地・平城(ピョンソン)を例に挙げると、平屋建ては月10ドル(約1100円)、市内中心部なら30ドル(約3400円)だ。マンションの場合は40ドル(約4540円)、条件のいいところなら50ドル(約5680円)が相場だ。平壌はその倍ほどする。1年分を前払いすると5〜7%を割り引く場合もある。

一般的に、賃貸住宅に住もうとする人は、豪華で家賃の高い家より、リーズナブルな物件を選ぶ傾向にあるというのが情報筋の話だ。

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トンジュと異なり貧しい人は、少しでも現金収入を得るために、部屋を間貸しする。また、陽の当たらない半地下の家で暮らす人も増えている。完全に地下の部屋なら、家賃の高い平壌でも月2〜30ドル(約2270円〜3400円)で暮らせる。

(参考記事:平壌で「半地下住宅」が急増する事情