米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、韓国の脱北者団体・キョレオル統一連帯は近く、「北朝鮮先軍政治の不都合な真実―北朝鮮特殊部隊と女性兵士の人権実態調査報告書」を発表する予定だ。同団体には軍出身の脱北者760人が登録しており、その中から50人(男性20人、女性30人)を選び、調査を行ったという。

北朝鮮の軍隊内における人権侵害のひどさはつとに知られているが、特殊部隊における実態にフォーカスした資料はこれまで見たことがない。特殊部隊は、弱体化が進む北朝鮮軍にあっても、周辺国に実質的な脅威を与えうる存在であり続けている。それだけに、この報告書でどんなことが暴かれているか、非常に興味深い。

一方、女性兵士に対する人権侵害はどうか。北朝鮮軍では「マダラス」や「書類整理」などと呼ばれる女性に対する性的暴行が横行している。

(参考記事: 北朝鮮女性を苦しめる「書類整理」と呼ばれる性虐待行為

同団体の代表であるチャン・セユル氏は報告書の発表に先立ち、女性兵士に対する人権侵害について、RFAで次のように語っている。

「兵役期間中に上官から性上納を要求されたとの回答が80パーセントに上った。妊娠の事実が発覚したら様々な不利益を被るため、早い時期にアスピリンや虫下しをたくさん飲んで流産しようとする」

北朝鮮軍内での人権侵害については、韓国の北韓人権情報センター(NKDB)も昨年、「軍服を着た収監者~北朝鮮軍の人権実態報告書」と題した報告書を発表している。こちらは北朝鮮軍に勤務した経験を持つ脱北者70人を対象に調査したものだ。こちらの調査では軍隊内での性暴力について、24人が経験したか、目撃したか、あるいは話を聞いたことがあると答えた。パーセンテージでは約34パーセントということになる。

統一連帯とNKDBの調査では、質問や分母の設定が異なっており、単純に比較することはできない。しかし「北朝鮮軍の闇」が、われわれの想像を超えたものであることを示唆しているとは言えるだろう。

ちなみに、こうした実情は国民にも広く知れ渡っているようで、親たちは徴兵年齢の子どもを守るのに必死だ。ワイロを使って比較的状態のマシな部隊に所属させるなどして、なんとか無事に軍隊生活を終えられるように手を尽くしているのだ。

さらに、権力者や金持ちの間では兵役忌避の風潮も強まっていると聞く。これに少子化も重なり、北朝鮮軍の兵員不足と弱体化がさらに進行しているとも言われている。