金正恩氏の「美人ウェイトレス」が握るスパイ機関の運命

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韓国政府が、中国の北朝鮮レストランから脱出して韓国に亡命した北朝鮮の女性従業員らに対し、ようやく旅券(パスポート)を発給していたことが分かった。

2016年4月に起きた集団亡命事件は、金正恩体制に大きな動揺をもたらした。国連安全保障理事会による経済制裁で営業が困難になるまで、北朝鮮レストランは同国の外貨稼ぎの主要な手段のひとつだったからだ。

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しかし最近では、この事件を巡り、従業員らの亡命先である韓国政府に不利な情報が次々と浮上している。

韓国の聯合ニュースは7月19日、同事件で韓国に亡命した元女性従業員12人に対し、韓国政府が旅券の発給を制限していることが判明したと伝えた。それによると、ある元従業員はある区役所で3回申請しても発給されず、理由を尋ねてもきちんとした説明を得られなかったという。また、元従業員から陳情を受けた国家人権委員会の関係者は、「区役所に理由を聞くと警察に聞いてみろと言われ、警察に聞くと『国家情報院(国情院)が発給を阻んでいる』との答えが返ってくる」とコメントしている。

北朝鮮は事件の発生当初から、集団亡命は国情院による拉致であると主張してきた。国情院が元従業員らの出国を阻んでいた事実は、北朝鮮の主張に説得力を与えていた。

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その後、発給拒否が明るみに出たことを受けて、韓国国内では移動の自由を制限する人権侵害であるとの批判が出ていた。韓国当局は、こうしたもろもろの世論に抗しきれず、発給に踏み切ったのだろう。

では、旅券を手にした彼女らは、どのような行動に出るのか。人権問題の観点から言えば、彼女らがどこへ行こうと自由である。ただし韓国には、国民が北朝鮮と接触することを禁止する国家保安法があり、彼女らもその縛りを受ける。

しかし、そもそも韓国に来たくて来たのでないのなら、そのような「縛り」も意味をなさない。このレストランの元支配人で、女性らを連れて韓国に亡命したホ・ガンイル氏は、今年5月に放送された韓国JTBCの番組で、韓国の国家情報院の担当者から従業員を連れて脱出するよう教唆を受け、彼女らを脅して連れ出したと告白した。

(参考記事: 「食堂の責任者が国情院チーム長にペコペコ」脱北ウェイトレスの同僚らが証言

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また、国連のキンタナ特別報告者と面会した一部の女性は「行き先が韓国とは知らなかった」と証言したという。

現在、彼女らが韓国社会での生活にどのような思いを抱いているかはわからないが、北朝鮮当局はまず間違いなく、彼女らとの接触を試みるだろう。北朝鮮の工作機関のひとつである国家保衛省は最近、脱北者を強制的に帰国させるオペレーションに力を入れているとされる。

(参考記事: 美人タレントを「全身ギプス」で固めて連れ去った金正恩氏の目的

彼女たちを説得して「自主的な帰国」を実現させれば、北朝鮮当局は国情院による対北工作の重大な「証拠」を握ることになる。金正恩党委員長がそれをもって、対話の相手である文在寅政権を攻撃することはないだろうが、今後どのように情勢が変化しても、国情院は以前のような対北工作に回帰できない可能性がある。

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旅券を手にした彼女らの行動は、朝鮮半島情勢に小さくない影響を与える可能性があるのだ。