北朝鮮の内閣などの機関紙・民主朝鮮は5日、同国内に外部情報を流入させる米国などの民間団体の運動について「敵対勢力の反朝鮮謀略策動が非常に危険な段階に至った」と非難する論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。

「恥ずかしそうな若い女性」も

論評が言及した運動は、ニューヨークに拠点を置くヒューマン・ライツ財団などが2016年2月に立ち上げた「自由のためのフラッシュ・ドライブ」だ。寄付されたUSBメモリーに韓流ドラマやハリウッド映画などを詰め込み、北朝鮮国内に送り込んでいる。外部の情報を北朝鮮国民に伝え、人々の意識変化を促すことが目的である。

もっとも、人々の意識変化はすでに起きている。少なくない北朝鮮国民が韓流ドラマの虜(とりこ)になっており、当局がいくら厳しく取り締まっても、根絶やしにはならない。

アダルトビデオを制作・販売した容疑で逮捕された人々が公開裁判にかけられ、その様子を収めた動画が北朝鮮国外に流出したこともある。

一方、北朝鮮当局は、金正恩党委員長が昨年12月に行われた朝鮮労働党第5回党細胞委員長大会での演説で、「非社会主義的現象を根絶やしにせよ」と指示したことを受け、大々的な風紀取り締まりを行ってきた。取り締まりの標的となってきたのは主に、網タイツ、花柄のストッキング、アルファベットのプリントされたTシャツの着用などといった「社会主義気風を乱す退廃的な服装」や、「色情的な踊り」(K-POP風のダンス)などである。

北朝鮮国内から流出した思想教育用の映像を見ると、そこには主に、「ハデな服装」で平壌の通りを歩く人々の姿が収められている。「ハデ」とは言っても、日本でなら完全に地味な部類で、Tシャツにプリントが入っている程度だ。

しかしナレーションは、「強勢国家建設の突撃隊主力となるべき若者たちが、敵が投げ与えるエサに何のためらいもなく手を伸ばし、敵のなすがままにされている」と大げさに非難。

さらには、当局に連行されたと思しき若い女性が、取調室風の部屋の中で恥ずかしそうに全身を撮影されたり、大人から子どもまで様々な年齢の男女が名前と顔と住所までを画面でさらされたりする映像が続く。

この映像を見て思うのは、「腐敗堕落」しているのはささやかなファッションを楽しんでいるだけの庶民ではなく、こんな野蛮な行為に手を染める体制の側だということだ。

振り返れば、北朝鮮国内からはずいぶん前から、体制の恥部を見せる映像が流出してきた。古くは「喜び組」のそれが有名である。

(参考記事:【動画アリ】ビキニを着て踊る喜び組、庶民は想像もできません

今や北朝鮮国民も、権力の腐敗堕落ぶりは知っている。金正恩氏がいくら「偉大な指導者」を自任してみても、それを本気で信じている人がどれだけいるか。