世界最長と言われる北朝鮮の兵役期間が、「さらに延長されるかもしれない」との情報が出ている。北朝鮮の兵役期間は男性10年、女性7年だが、以前は男性13年に女性が10年だった。

兵役期間の短縮や少子化、また食糧不足や性的虐待などを嫌っての兵役忌避により、北朝鮮の兵員数はかつてと比べ不足気味だとされる。

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しかし、金正恩党委員長が韓国や米国との対話に乗り出したことで、情勢の緊張は大きく緩和されている。北朝鮮がここへ来て本当に兵役期間の延長に動いているとしたら、その理由は何なのか。

韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)によれば、今年6月に除隊する予定だった兵士たちが、8月中旬の時点で帰郷していないという。慈江道(チャガンド)の消息筋がLKPに語ったところでは、「除隊は通常、3月と6月、9月に分けて行われるが、6月に除隊するのは大学入学対象者たちだ。これまでは情勢により除隊時期が遅れることがあっても、6月だけは予定通り行われてきた」という。

こうした動きを受けて、民間では「2020年まで兵役が延長されるのではないか」との観測が語られているという。2020年は、朝鮮労働党の第6回大会が予定されている年であり、金正恩氏がそれまでに完了するよう厳命した建設プロジェクトがいくつもある。除隊が据え置かれているのは、その労働力を賄うためではないか、というわけだ。

これが事実ならば、除隊を据え置かれた兵士たちの境遇はきわめて厳しいものになる可能性がある。現在進行している大型プロジェクトは、どれも危険なものばかりで、すでに事故多発が伝えられているからだ。

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中でも、1カ月で1000人もの死者を出したとの情報もある「元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区」の建設現場などは、北朝鮮一の「恐怖スポット」と言っても良いぐらいだ。

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一方、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋はLKPに対し、「6月の除隊が据え置かれたのは、9.9節(建国記念日)の閲兵式の関係ではないか」と話す。さすがに、どちらかといえばエリートに属する大学入学対象者たちを、建設現場に縛り付けはしないだろうという意見だ。ただしこの情報筋も、ほかの兵士たちの兵役期間が延長される可能性は否定していない。

またデイリーNKの内部情報筋によると、北朝鮮当局は7月中旬、咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)郡の倉坪(チャンピョン)労働者区にある4.25タバコ農場に対して、「除隊した兵士を大量に送り込むので、宿舎となる住宅を建設せよ」との指示を下した。外貨獲得のため、タバコの生産量を増やすことが目的だという。

兵役を終えた兵士を、炭鉱や山奥の協同農場など誰も行きたがらないところに集団で送り込むことを「集団配置制度」と言うが、LKPの情報は、この措置が大規模に実行される兆候である可能性もある。

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