金正恩氏「7000人死亡リゾート」を襲う新たな悪夢

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8月23、24日の両日、朝鮮半島の内陸を台風19号が襲った。その影響で北朝鮮の東海岸・江原道(カンウォンド)では文川(ムンチョン)市で601mm、高原(コウォン)郡で436mm、元山(ウォンサン)市で327mmの降雨量を記録。とくに元山の海岸部では強風による高潮も加わり、被害が甚大だったという。

デイリーNKの現地情報筋によれば、元山の葛麻(カルマ)地区では道路が冠水。2015年に屋根が設置された葛麻市場をはじめ、家屋の浸水被害も報告されている。

この一報を聞いて懸念されるのが、観光リゾート「元山葛麻海岸観光地区」の建設現場への影響だ。

金正恩党委員長は先月中旬に現場を視察した際、「わが国の景色がよくて美しい海岸に文化休息の場を立派に建設して人民が思う存分享受できるようにするのは、朝鮮労働党が久しい前から構想してきた事業であり、自身が最もしたかった事業の中のひとつであった」と述べ、来年の朝鮮労働党創立記念日である10月10日までに完成させるよう指示したという。

しかし果たして、金正恩氏が指示した期間内に完成するかは微妙だ。

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韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)は、この現場の劣悪な労働環境を指摘。この工事には刑務所の囚人たちが動員されていたとし、「1月から今まで、葛麻地区の工事現場では7000人、月単位では1000人が死んでいる」とする刑務所幹部のコメントを伝えている。

北朝鮮では、無理な工期のゴリ押しによる大量死亡事故が繰り返されている。

元山葛麻と並び、金正恩氏が重要プロジェクトに位置付けるのが三池淵(サムジヨン)郡の開発プロジェクトだ。朝鮮中央通信が公開した、金正恩氏の三池淵視察時の写真の中には、深刻な死亡事故の発生を予感させる「恐怖写真」がある。

(参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

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これと同じ要素を持つ写真が、元山葛麻の視察に際しても公開されているのだ。

北朝鮮は、自然災害への備えが極めて脆弱で、被害が発生するたびに国民の犠牲で埋め合わせるということを繰り返してきた。元山葛麻においても今後、台風被害の影響による工事の遅れを取り戻すため、労働者たちへの過酷なしわ寄せと、それが誘発する悪夢のような事故の発生が懸念される。