北朝鮮国営の朝鮮中央通信は19日、金正恩党委員長が李雪主(リ・ソルチュ)夫人とともに「三池淵(サムジヨン)郡内の建設場をまたもや現地で指導した」と伝えた。

金正恩氏は7月上旬にも同郡を視察している。白頭山(ペクトゥサン)の麓に位置する同地は、北朝鮮の「革命の聖地」であると同時に、風光明媚な景勝地でもある。

金正恩氏は現地で次のように述べた。

「朝鮮創建(建国)70周年を迎える今年、三池淵郡と元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区、発電所の建設場をはじめ全国の至る所の建設場で大変革の熱風が激しく巻き起こり、壮大な建造物が雨後のたけのこのようにそびえ立っている」

この言葉から、三池淵郡と元山葛麻の観光リゾート、そして端川(タンチョン)と漁郎川(オランチョン)の水力発電所建設プロジェクトが、金正恩氏がいま最も重視している事業であることがわかる。

そして、これらに共通するのが膨大な人命被害である。韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)によれば、元山葛麻では、過去7カ月間で7000人もの労働者が事故死したという。

また両江道(リャンガンド)と咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、端川の現場では、工事に動員された護衛司令部の1個旅団だけで1ヶ月に34人の兵士が死亡した。重軽傷を負って除隊になる兵士はこれよりはるかに多い。現場に動員されている息子に会いに行ったと語る咸鏡北道(ハムギョンブクト)の住民は、兵士たちは1日14時間も水路を掘削する工事に動員され、ひどい健康状態だったと現場の状況を説明した。

三池淵郡では、列車の転覆事故が起きて数人の死傷者が出たということ以外に事故の情報はないが、いかに危険な環境で作業が行われているかは、今回の視察に伴って公開された写真を見てもわかる。金正恩氏の背景に写っている建設中の建物の足場が、どうやら木材で組まれているのだ。これは、先立って公開された三池淵(サムジヨン)郡の建設現場の写真の方がわかりやすいだろう。

(参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

金正恩氏は今回の視察で、次のように述べてもいる。

「今度ここに来ながら見ると、新たに建設した恵山―三池淵鉄道の路盤工事が立派にできていない」 「工事を設計工法の要求通りにしながら各種の事故防止対策を徹底的に立て、一件の小さな事故もないようにせよ」

これは、上述した恐怖写真の件も含め、外国メディアが指摘した点を意識した発言のようにも思える。

もしかしたら金正恩氏は、外国メディアの指摘を「一理ある」と受け入れ、改善に動いたのだろうか。本当にそうならば歓迎すべきことだが、せっかく安全対策を取るのなら徹底的にやるべきだ。

三池淵郡の木製の足場が大惨事を引き起こす前に、早く鉄製のものに変えるか、そのための十分な予算がないならばプロジェクトの「選択と集中」を行い、限られた資源を1、2カ所に集中させるべきだろう。