「凶器持ち大乱闘、死人も」過激化する北朝鮮の高校生たち

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北朝鮮当局が、高校生の犯罪に頭を痛めている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところでは、「最近、学生による凶悪犯罪が社会的な問題になっている。清津市では高級中学校(高校)の生徒らが集団で乱闘を繰り広げ、凶器で相手を刺し死亡させる事件が起きた」という。

情報筋はまた、「今回の事件は中央政府にまで報告された。これを受けて中央からは、学校ごとに社会主義教育制度を脅かす現象を徹底調査し、これを根絶するための思想闘争を強化せよとの指示が下された」と語った。

国家が国民を厳しく統制している北朝鮮にも暴力団組織のようなものがあり、乱闘騒ぎもときどき起きている。

(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男

ひとたび乱闘が起きると、死人が出るほど非常に激しいものになると聞いていたが、今年3月にはロシアの地方都市で北朝鮮労働者とタジキスタンの労働者が乱闘を繰り広げ、そのもようが動画に収められた。Vesti.ruが報じた動画には、石やシャベルのようなものを手に持ち、双方入り乱れて大暴れする様子が収められている。まるでヤクザ映画のようなド迫力である。

(参考記事:【動画】北朝鮮労働者とタジキスタン労働者、ロシアで大乱闘

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しかし、これは大人の世界の話であり、まさか学生の乱闘がここまで激しいものになっているとは思わなかった。

平安北道(ピョンアンブクト)の消息筋もRFAに対し、「こちらでも学生による犯罪が度を越してきた。強盗や窃盗をはじめとする凶悪犯罪が相次いでおり、処分や思想教育が強化されているが、若い学生の犯罪行為は増え続けている」と語っている。

北朝鮮の少年犯罪と言えば、「コチェビ」と呼ばれる浮浪児たちが、生き延びる手段として盗みやスリを働いてきたことが知られている。彼らが成長してヤクザや半グレになることもあるだろうが、幼いうちに凶悪犯罪に手を染めているとの話は聞かない。

(参考記事:「良心を捨て、狼のように生きろ」北朝鮮ヤクザの無慈悲な戦い

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一方、数年前からは、比較的裕福な家の子どもらが、違法薬物により汚染されているとの情報が伝えられていた。

(参考記事:北朝鮮で少年少女の「薬物中毒」「性びん乱」の大スキャンダル

今回、乱闘騒ぎを起こした高校生たちがどのような家庭環境で育ったのかはわからないが、もしかしたら中流家庭の子どもたちなのだろうか。

前出の平安北道の消息筋は、「学生による凶悪犯罪多発を受けて、満14歳から犯罪行為の重大性に応じて刑事罰を受けるよう法が改正された。しかしあまり実効性がなく、住民たちは、社会の今後に不安を感じている」と語っている。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記