そこで今回の問題を受け、北朝鮮側は「本当にやる気あるの?」とたたみかけているのだ。
筆者は、当面は対北圧力を維持するという日本政府の方針に、必ずしも反対するものではない。ただ、今回の「お土産没収」については、あえてそこまでする必要があったのか、とも感じる。高校生が持ち帰ったお土産くらい、内容をチェックして問題がなければ、そのまま返却しても何ら実害はなかったはずだ。
共同通信の報道によれば、北朝鮮は日本との水面下の協議で、日本側が独自の経済制裁を緩和しない限り、拉致被害者の再調査には応じられないとの考えを伝えているという。日本政府がそれを知りながら「お土産没収」を実行したとしたら、北朝鮮側から対話の意思を疑われるのも当然だろう。
もしかしたら、北朝鮮との対話を目指すという内閣の方針が税関の末端にまで徹底されていなかったのかもしれないが、それはそれで行政のミスだ。