政治犯収容所が減っているのは、単に運営の効率化のために過ぎない。それぞれの施設は大規模化し、拡張されている。また、収容者数が減ったのは、1990年代の大飢饉に際し、何の救済もされず、飢え死ぬままに捨て置かれたからだ。
安氏によれば、北朝鮮当局は「国際社会の圧力などの理由から国内で合理化を図ったもので、残った管理所を拡大する方針を取っている」のだという。
また、過去には収容者が釈放される例もあったのが、最近では例外なく「無期刑」とされているそうだ。元収容者が脱北し、管理所での残虐行為が国際社会に告発されるのを防ぐためだ。
そうした実態にも増して、安氏の話で衝撃的だったのは、「仮にいまの体制がもたないと北朝鮮の指導部が判断したら、証拠隠滅のため、収容者を皆殺しにするだろう。私もそのように教えられた」との説明だ。いま、金正恩氏は対話に舵を切っているが、国際社会との融和を進める上で、政治犯たちの存在は足手まといになりかねない。