北朝鮮「列車に乗っていたら飢え死に」その理由は

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平城の市場で薬を手に入れたこの人物は、タクシーに乗って恵山に戻ったが、結局死んでしまった。死因は定かではないが、情報筋は「列車の遅延で薬を飲むタイミングを逃したから」と見ている。

この時の遅延は、金亨稷(キムヒョンジク)郡の古邑(コウプ)労働者区付近で、レールが枕木から押し出され補修工事を行ったこと、慈江道(チャガンド)の満浦(マンポ)付近で1日停電になったこと、价川で電気機関車の交代が遅れたことなどが重なって発生したものだった。

こういった事情もあり、最近の北朝鮮では長距離輸送においてもタクシーやトラックが主力だ。しかしこちらでもまた、深刻な事故が相次いでいるのだが、それについては次の機会にレポートしたい。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記