「音楽と薬物でキメて性びん乱」も…北朝鮮の若者文化は南北対話で変わるか

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韓国と北朝鮮は20日、軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)の北朝鮮側施設「統一閣」で、韓国芸術団の平壌公演についての実務協議を開催。160人規模の韓国芸術団が31日から4月3日まで訪朝し、2回の公演を行うことで合意した。

出演者は国民的歌手のチョー・ヨンピルを筆頭に、北朝鮮の三池淵(サムジヨン)管弦楽団が韓国公演で披露した「Jへ」のイ・ソニ、そしてユン・ドヒョンやペク・チヨンが含まれる。アイドルグループのRed Velvet(レッドベルベット)、少女時代のソヒョンらも出演する。

韓国や日本、欧米の人気歌手が平壌で公演を行ったことは、これまでにもあった。また今回も、北朝鮮を刺激しないよう政治的な内容の含まれた曲は慎重に除外されるだろう。もっとも、韓国のヒットソングに政治的な内容のものはそもそも少ない。

それより興味深いのは、韓流アイドルらの参加である。過去に韓国の歌手たちが北朝鮮で公演した際には、まだ「韓流」というくくりはなかった。また、韓流ドラマがアジアで一世を風靡して北朝鮮にまで密かに浸透し、庶民の心を豊かな韓国社会に引き寄せ、当局の頭を悩ませるような状況でもなかった。

北朝鮮では、韓流ドラマや映画を見ることは違法で、摘発されれば残酷な拷問を受ける。場合によっては死刑になることもある。

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音楽も同様だ。2017年には咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市の大学生らが、韓国の映画や音楽を密かに視聴。「違法薬物に酔った状態で音楽に合わせて踊ったり、性的にいかがわしい行為をしたりした」として、当局に摘発される事件があった。

こうした摘発事例以外にも、「北朝鮮にいたとき、友達とK-POPを聞きながら踊っていた」という証言は、多くの脱北者の若者から聞かれる。ドラマと同様、韓国の音楽は確実に北朝鮮の若者たちに影響を与えているのだ。

昨年11月、銃撃を受けながら軍事境界線を突破して亡命した北朝鮮軍の元兵士も、瀕死の重傷を負いながら、少女時代のヒット曲を病院でうれしそうに聞いていたという。

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今や韓流ドラマやK-POPのスターたちは、北朝鮮の人々にとっても強い「憧れ」の対象となっているのだ。

そして今回、遂に韓流アイドルが北朝鮮の舞台に立つ日が来た。しかもその舞台を、金正恩党委員長が鑑賞する可能性も取り沙汰されている。韓国の文在寅大統領が、2月の平昌冬季五輪に合わせて行われた北朝鮮芸術団のソウル公演を鑑賞したことから、金正恩氏もその答礼として韓国芸術団の平壌公演を鑑賞するとの見方が出ているのだ。

もちろん、そうなったからといって、北朝鮮当局が韓流ドラマやK-POPの視聴を「解禁」する可能性はきわめて低い。しかし若者たちが心の内で「どうして金正恩は良くて、自分たちはダメなんだ!?」との思いを強めるのは避けられないだろう。

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韓国芸術団の平壌公演は、金正恩氏が言い出した「わが民族同士」の路線を維持するために必要なものなのかもしれないが、実は北朝鮮にとって、かなりリスキーな試みともなり得るのである。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記