通話記録には中国にかけた記録しか残っていないのに、保衛部は摘発実績を上げるためか、男性を無理やりスパイに仕立てようと拷問を加えたのだ。男性は13日後、ボロキレのような状態になって釈放された。いくら拷問を加えても認めないので、保衛部はこれ以上取り調べを続けるのは無駄だと判断したようだ。
自宅に戻った男性は凍傷の治療を受けたが、結局足の指2本が壊死してしまった。切断手術を受けなければならないが、すぐに手術を受けなければ骨まで壊疽して足を切断するしかない。医者の話を聞いてショックを受けた男性の妻は、保衛部に怒鳴り込んだ。
「うちの夫が障がい者になったらどうしてくれるんだ、責任取れ!」 「中央に信訴(シンソ)してやる!」
信訴とは、理不尽な目に遭った国民が中央に訴える「目安箱」のようなシステムだが、下手に利用すると返り討ちに遭いかねない。それ以前に、保衛部に怒鳴り込むことそのものが危険な行為だ。