北朝鮮芸術団、韓国男性を悩殺する「グラマラス美女」の正体

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金正恩党委員長の「美女外交」が本格的に始まった。韓国で9日から始まる平昌(ピョンチャン)冬季五輪に合わせた公演のため、北朝鮮の芸術団メンバーら114人を乗せ万景峰(マンギョンボン)92号が6日、韓国に到着。翌7日には、「美女応援団」として知られる北朝鮮の応援団など280人が陸路で韓国入りした。

この中でとりわけ注目を集めたのが、8日に行われる公演準備のため7日に船を降りた三池淵(サムジヨン)管弦楽団の女性メンバーたちだった。赤いコートに黒い毛皮の帽子、そして首元にはファーをまき、柔らかな笑顔を振りまく女性メンバーたちに報道も過熱した。金正恩氏が、こうした対応を見越して彼女らを送り込んだのは間違いない。

全員がそうではないが、純朴でミステリアスな雰囲気を醸し出す北朝鮮の女性たちに憧れをもつ韓国男性は多い。例えば、東南アジアの北朝鮮レストランの容姿端麗なウェイトレスの写真がネットで出回り、韓国の若者たちの間でアイドル並みの人気を博したこともあった。

韓国男性の心理を十分把握した北朝鮮のイメージ戦略は、実に巧妙だ。そもそも三池淵管弦楽団も、今回の公演のために編成されたものだ。

北朝鮮で、三池淵管弦楽団の名が公式に報道されたことはない。一方、万寿台(マンスデ)芸術団傘下のユニットとして結成された三池淵楽団は存在するが、こちらは新人音楽家など約50人で構成された大衆音楽楽団である。三池淵管弦楽団は140人の陣容であり、他の楽団のメンバーが参加するものと予想していたが、やはりそうだった。

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報道写真やニュース映像を分析したところ、同楽団にはモランボン楽団や青峰(チョンボン)楽団のメンバーが加わっていることが明らかになった。北朝鮮音楽に精通するうねこ氏によると、タイトル画像で手を振る女性は、ワンジェサン芸術団にも所属し、現在は青峰楽団でマイクを握るキム・ジュヒャン氏だ。

「ニュース映像で見たスウェット姿からもわかりますが、メンバーのなかでもとくにグラマラスで目立つ女性です。ある公演では、彼女だけ『谷間』が見えぬよう胸に手を当ててお辞儀をしていました」

確かに青峰楽団の映像を見ると、キム・ジュヒャン氏がひときわグラマラスな女性であることがわかる。

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【画像】グラマラスで目立つキム・ジュヒャン氏

キム・ジュヒャン氏が所属する青峰楽団は2015年に結成された。現存する北朝鮮の楽団では最も新しいが、結成された経緯には、金正恩氏の妻である李雪主(リ・ソルチュ)氏のあるスキャンダルが隠されている。

金正恩氏が送り込んだ美女達はしばらくの間、平昌冬季五輪を巡る報道の「主役」の座を占めていくだろう。そこに、金正恩氏の深謀遠慮が隠されているのは間違いない。文在寅政権は今の宥和ムードにぬか喜びしていたら、この先思わぬしっぺ返しを食らうかもしれない。

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三池淵管弦楽団には、キム・ジュヒャン氏だけでなく金正恩氏がこよなく愛するガールズグループ「モランボン楽団」のメンバーも入っているようだ。人物特定ができ次第、追って続報を伝える。(つづく)

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記