北朝鮮の携帯端末に埋め込まれた「監視ソフトウェア」の正体

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つまり、他人に知られたらマズい使い方をしているユーザーが、国家保衛省(秘密警察)などから「端末を見せろ」と提示を迫られたら、一巻の終わりということだ。北朝鮮では、国家保衛省の職員が、極秘に集めたデータを基に市民の携帯電話購入の申請を承認するかどうかを判断している。

また、グリューノウ氏によると北朝鮮当局は、ユーザーの端末にあるファイルを遠隔で削除したり、ファイルのシェアをブロックしたりすることもできるという。

ちなみに北朝鮮は、LINEやカカオトークなどのメッセンジャーアプリを強く警戒しているとされる。こうしたアプリでのやり取りを捕捉し、解析する技術は持っていないのかもしれない。

(参考記事:LINEやカカオが「抜け穴」に…北朝鮮の情報統制に欠陥

しかし、国外からの情報流入を極度に警戒し、拷問や公開処刑などの残忍な手段を駆使してまで国内での情報拡散を阻止しようとしてきた北朝鮮のことだ。あらゆる情報の流れを統制下に置くべく、新たな技術の開発に取り組んでいるのは間違いない。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記