必死の医療陣、巨大な寄生虫…亡命兵士「手術動画」が北朝鮮国民に与える衝撃

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米CNN放送は5日、韓国への亡命過程で受けた銃撃で重傷を負った元北朝鮮軍兵士、オ・チョンソン氏の手術場面の動画を公開した。

動画は、韓国京畿道水原市にある亜州病院の記録カメラに収録されたもの。米軍の米軍航空医務後送部隊「ダストオフ(DUSTOFF)」のヘリが病院の敷地に着陸し、オ氏が手術室に搬送される場面から始まる。

3つのショック

続いて10人の医療陣が手術台を取り囲み、オ氏を懸命に蘇生。オ氏の体内の銃弾が映ったエックス線写真や、体内から寄生虫が取り出される様子も収められている。寄生虫は、大人の小指ほどの太さがある。

(参考記事:米CNNが北朝鮮亡命兵士の手術場面を公開

この動画は、北朝鮮国内に密かに持ち込まれ、一般国民の間で広く視聴される可能性が高い。そうなった場合、北朝鮮国民は3つの点で衝撃を受けるはずだ。

第1に、オ氏を救おうと懸命になる韓国の医療陣、そして米軍兵士らの姿から、「彼らは敵ではなかったのか!?」という疑問が強く湧き上がるはずだ。

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今どきの北朝鮮国民は海外情報にも密かに触れており、頭から米韓を敵視する人は少ないと思われる。だが、国家により執拗に「敵視教育」を受けていれば、心のどこかにモヤモヤしたものがあるはずだ。この動画は、それを吹き飛ばすほどの威力を持っているかもしれない。

第2に、韓国の優れた医療環境に羨望を抱くだろう。北朝鮮は「無償医療制度」が自慢だが、その仕組みはすでに崩壊して久しく、医療現場の有様は悲惨を極めている。

そして第3に、オ氏の体内から取り出された寄生虫のサイズに驚愕するだろう。オ氏の腸内が寄生虫だらけだったのは、北朝鮮の農業政策の失敗によるところが大きい。「あんなものが、もしかしたら自分や家族の体内にも……」と思ったら、居ても立っても居られなくなるだろう。

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北朝鮮当局はもちろん、この動画が出回るのを必死で阻止しようとするだろう。

しかし、動画が人々の目に触れたら最後、国民の国家に対する不信感は一気に高まるはずだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記