女性として最も辛かったのは、シャワーがまともにできなかったことだと語るリ・ソヨンさん。お湯がないため、小川からホースで水を引いてシャワーをしていた。時々、ホースからカエルやヘビが飛び出したという。
北朝鮮の男性中心社会は、軍隊とて例外ではない。女性兵士は、男性兵士とほぼ同じ訓練をこなした上で、男性がやらなくてもいい炊事洗濯をやらされていた。劣悪な衛生環境、栄養不良、辛い訓練などが重なり、入隊後6ヶ月で生理が止まってしまった。しかし、女性兵士たちは「こんな状況で生理が来ればさらにつらい、止まってむしろよかった」と言っていたという。実際、生理用ナプキンが配給されないため、綿でできたパッドを何度も洗って再利用していたという。
女性兵士を苦しめていたのは、性的暴力だ。