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昨年の11.30貨幣改革の最も大きい後遺症は、住民の間で北朝鮮当局に対する『不信』が根付いたという点だ。内部消息筋は「90年代の大量餓死時期にも国家を罵る人はいなかったが、今は3人集まれば全員が国家を罵っている」と話す。

住民の不満が『国家』に向かっている点は非常に異例的だ。2000年代以降、住民の憎悪対象は『中間幹部』だった。2002年の7.1措置以降、国家供給力が縮小し市場化加速する過程で、中間幹部は住民の日常生活を統制取り締まりながら『賄賂』で延命してきた。国家安全保衛部・人民保安部のような公安機関だけでなく、学校、協同農場、工場企業所、市場管理所など全ての領域で幹部への賄賂が日常化された。

貨幣改革の過程で住民らは、商売や小土地農作業で必死で貯めた財産を国家に奪われた。92年にも貨幣改革が行われたが、当時は私的経済領域が発達しておらず住民の損害は大きくなかった。

配給されるべき物も受け取れず『私財』を奪われる無念さと、貨幣改革は次元が違う問題であった。当然、不満は高まった。そして今回の貨幣改革ではその誰もが勝者ではなかった。お金が多ければ多いほど、地位が高ければ高いほど打撃が大きかった。結果的に非難の矛先は『国家』に向けられた。

貨幣改革後の後続措置は住民の不満に油を注ぐ結果になった。市場が閉鎖され売買が中断した為、その日の売り上げで生活する貧困層が大きな打撃を受けた。食糧価格が上昇し食糧商人は以前よりも一層頑固に食糧を流さなくなった。国境地域や労働者が集まる中小都市では、栄養不足が原因の『虚弱病』で死んでいく人も大勢いた。北朝鮮当局が緊急救済米を配布し事態を収拾しようとしたが、力不足だった。

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市場閉鎖で約束された食糧配給は平壌に限定された。食糧を分ける食糧供給所と買い入れ商店には米がなかった。『貨幣改革で国定物価が100倍減となり、過去と同じ賃金を支給することによって購買力を100倍高める』という朝鮮中央銀行責任部員の話も空手形であった。3月からは賃金支給まで中断された。

消息筋は「今では軍人や幹部ですら貨幣改革措置を批判している。全住民の80%以上がこれ以上国家の話を信じないだろう」と説明した。2月には市場が再び再開し外貨使用禁止措置も有名無実となったが、住民たちの胸には消すことはできない不信の壁がそびえ立っている。今から振り返れば全ての措置が『嘘』だったわけだ。

天安艦事件の北朝鮮当局の内部教養で、住民の反応が今ひとつ悪い理由はこの様な背景からだ。

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天安艦沈没原因が北朝鮮の潜水艇の魚雷攻撃と明らかになった後、北朝鮮メディアは連日『天安艦事件は南朝鮮当局の捏造劇』と主張しているが、住民達の反応は冷たい。

消息筋は「軍・党幹部が4月までは『我が軍が一撃を食らわした』と喜んでいたが、最近では『南朝鮮の謀略劇』と話を変えた。国民は二転三転する発言を見ながら、『戦争が起きれば仕方が無いし、起きなければそれまでだ』と冷めた撫?セ」と伝えた。

一部の住民は「貨幣改革の失敗で国家が非難を受けた為、南朝鮮との緊張を高める事で関心を反らす為だ」という意見もある。また「南朝鮮はなぜここまでやられて黙っているのか」と疑問を持っている住民もいる。兎に角天安艦事件による住民らの緊張の高まりは見当たらないと消息筋は言う。

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国家に対する住民の不満は政治行事を経てより一層激しくなったと伝えられる。

消息筋は4月9日に開催された最高人民会議(第12期2次会議)を思い出し、「二毛作農作業を通じて町歩当り田で11t、畑で15tを生産したと報告した咸州郡の代議員に対して、住民は『インチキだ』と非難した」と話した。

当時、『10万世代住居建設と煕川発電所建設に必要な鋼鉄は、ソン・カン製鋼所が責任を持って保障する』という決議採択に対し住民たちは、「箸ですら中国から輸入してくるくせに何が保障か」と馬鹿にしたという。

特に『2009年の電力生産を154%超過達成した』と報告した電力工業相の発言を代議員らが拍手する場面に「頭がないカカシ、自分の家にも電気が入らないのに何故拍手をするか?」と非難した。

「今年3月の平壌住宅街では1日平均2時間、4月には1日平均5時間程度の電気供給しかなかった」と説明した。平壌市10万戸住宅建設現場と強制生産工場に電気が集中した影響だ。

今月7日に開かれた最高人民会議(第12期3次会議)に対する不満も現れている。消息筋は「今回の会議で張成沢が昇進し、崔永林が総理に任命されるのを見た住民は『どうぜ身内の祭りなのになぜ騒がしく(最高人民)会議を開くのか判らない」という反応を見せている」と話した。

また、注目さていれる点は国家に対する不満が、最高指導者と後継者に対する不信にまで拡大しているという点だ。

同消息筋は金正日訪中後にも経済状況が改善されない為、住民の間では『成果も無く冷遇を受けてきた』という噂が広がったと話した。キム・ジョンウンに対しても『若造が何を分かるといって国を治めるのか』、『分別の無い人が国を治めれば父より厳しくなるので心配』、『(キム・ジョンウンは)カカシで幹部がより執拗に民を搾取するだけ』等と話されているという。

後継作業と関連し、住民たちは『あきらめ』ムードだという。「当然息子が代を引き継ぐというのが、一般住民の考えだ。将軍様の現地指導にキム大将が同行しているという噂が多いが、関心を持っている住民は実際いないようだ」と付け加えた。