ハンナラ党の新対北政策が左右から攻撃を受けている。
新対北政策のため、保守陣営でひと時うまく行っていたチョン・ヒョングン議員が、保守陣営で没落する兆しを見せている。次の総選でチョン議員は保守陣営の推薦もれ対象者名簿に上がるかも知れない。
だが、チョン・ヒョングン議員の新対北政策が空振りという事実よりも残念なことがある。それはチョン議員を批判する保守陣営も、ある部分で空振りをしているという事実だ。
23日に保守陣営の知識人200人余りが声明を出し、 ▲核廃棄の履行後の平和体制構築 ▲人権問題の提議 ▲北朝鮮の変化と連携した、経済協力及び支援 ▲相互主義に即した支援及び、金正日を排除した支援などが行われなければならないと指摘した。
北朝鮮問題の主要懸案をよく現わした声明だった。だが、ここでも核問題が北朝鮮の人権問題の先に立っている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮問題は、うわべは核問題のように見える。しかし、本質は’政権問題’という事実、そして政権の問題を解決するためには、核ではなく人権を対北政策の最優先の順位に置かなければならないという事実を、保守陣営は見逃している。
対北人権政策、代替勢力の形成に寄与
対北政策の最優先の順位が人権でなければならない理由はとても簡単なものだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮の人権問題を強調することが、非核化を実現できる基本的な解決方法だからだ。すなわち、非核化のためにも、人権政策を先に立たせなければならない。もちろん、韓国の立場としては、北朝鮮の核の深刻性は、北朝鮮の人権問題よりも大きい可能性がある。大多数の国民の立場としても、北朝鮮の人権問題は多少そっぽを向くことができても、北朝鮮の核は絶対に容認することができない。
だが、問題は北朝鮮の非核化を果たす方法だ。外交的な交渉で北朝鮮の非核化を実現することができると信じる人はほとんどいない。金正日がやっと開発した核兵器なのに、これを自ら完全に放棄するだろうか。非核化を果たす方法は現実的に2つしかない。1つは武力で放棄させることだ。もう1つは北朝鮮自らが解体することだ。
まず、武力で北朝鮮の非核化を果たすことは現実的に難しいということが判明した。まず、アメリカは北朝鮮が核物質をテロ集団に流出しない場合、武力を行使する意思がない。中国も北朝鮮に対して武力の使用を敢行する可能性はほとんどない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面強圧的な方法で北朝鮮の核放棄が不可能な状況で、唯一の現実的な方法は、北朝鮮に金正日に取って代わる改革開放政府が立ち入ることだ。新しい政権が立ち入るためには、代替勢力が形成されなければならない。北朝鮮の人権が最も重要な理由はまさに、反金正日勢力が形成される可能性があるからである。
北の内部に核反対勢力を作る
現在、北朝鮮は反金正日勢力が形成される可能性をあらかじめ封鎖している。少しでも反骨気質が見えれば、本人を含めた家族3世代を政治犯収容所に送ってしまったり、処刑してしまう。人権が強調されなければならない理由は、人権はすなわち内部反対者の声をむやみに弾圧できないようにする制度だからだ。
すなわち、北朝鮮内部でも核に反対する声が出るように、ひいては北朝鮮内部の反核勢力が政権をとる可能性を開いておくために、北朝鮮内部の人権が強調されなければならないのである。
だが、ハンナラ党の新対北政策で、人権の議題はあわせて5つの議題のうち、最下位を占めている。議題の重要度は非核平和-> 経済協力 -> 交流、協力 -> 人道支援 -> 人権の順番になっている。人権問題は核問題のみならず、経済協力、交流、人道支援よりも重要ではない問題になっている。
また、ハンナラ党の新対北政策を批判する人たちも、人権よりも核をより重要な優先順位に置いている。前にも書いたが、北朝鮮問題の深刻性を認識すれば、北朝鮮の核問題が、人権問題に優先する可能性がある。だが、解決方法においては、人権を優先させれば、核問題も人権問題もすべて解決することができる。
したがって、対北交渉においても、人権問題を議題にあげるために努力しなければならない。たとえば、南北首脳会談も北朝鮮の人権改善に画期的な寄与をしたら、肯定的意義がある。核問題を同時に解決することができればよいが、そうでないとしても、肯定的に考慮して見なければならない。だが現在、右派の対北政策は、対北交渉をすべて核問題の進展と連携させている。核問題がいくら重要であっても、核を優先させて核問題を解決しようとしたら、核問題自体も解決できないという事実を見逃しているのだ。
北朝鮮の人権改善のロードマップを準備せねば
朝鮮半島の軍事的緊張は、外面的には北朝鮮の核が触発したように思われるが、根本的には金正日1人の独裁体制と民主、人権、開放の時代の流れの間の対立から派生したものだ。核は金正日が時代錯誤の1人全体主義独裁、すなわち閉鎖的で宗教的かつマフィア集団にも似た軍事独裁体制を維持するための手段として開発したものである。
したがって、朝鮮半島の真の平和を実現するためには、その根である北朝鮮政権の性格が、根本的に変化しなければならない。つまり、北朝鮮国家の正常化が実現してこそ、核問題が解決されるということだ。
北朝鮮国家の正常化を促すことができる最もよい武器は、まさに人権である。だが現在、人権問題は6カ国協議は勿論、南北交渉からも完全に抜け落ちている。6カ国協議は会談の議題を韓国が主導できないという限界がある。したがって、6カ国協議に人権議題をあげることは簡単ではないかもしれない。しかし、南北交渉は違う。南北交渉では韓国の努力次第で、北朝鮮の人権問題を交渉の議題としてあげることができる。拉北者、国軍捕虜問題も結局、交渉の議題に上がった。
同様に、北朝鮮国内の住民の人権問題も、韓国の努力如何によって、充分に交渉の議題としてあげることができる。もちろん、人権問題を外交の交渉議題としてあげるため、北朝鮮の人権改善に相応するインセンティブ措置も準備しなければならないだろう。
したがって、次期政権、そして授権政党になるために努力しているハンナラ党は、対北人権交渉のために、北朝鮮の人権改善のロードマップを準備しなければならない。
北朝鮮人権特使を専任せねば
北朝鮮の人権改善のロードマップには、北朝鮮が内部の人権改善のためにとらなければならない段階的な措置が盛り込まれなければならないだろう。同時に、北朝鮮の人権改善措置に相応して、韓国政府がとるインセンティブ政策も盛り込まれなければならないだろう。
もちろん、対北人権交渉のために、核交渉の重要性が放棄されてもよいということではない。一番よいことは、人権交渉と核交渉が別のトラック(Two track)で進行されることである。1つの交渉が他の交渉の条件になってはならない。
対北人権交渉を進捗させるために、大使級の対北人権特使の専任を真剣に考慮しなければならない。現在、アメリカや日本では対北人権特使が任命されているため、韓国政府が人権特使を任命することは極めて自然なことだ。同時に、韓国政府が国連人権決議案に賛成票を投じたため、これに対する後続措置として検討することもできる。
結論としては、保守陣営は北朝鮮問題の真の解決方法が何なのか、知恵を結集しなければならない。北朝鮮政権が邪悪だということ、北朝鮮の核は絶対に許容することができないということ。これは誰もが分かっている事実だ。問題は、どのようにこの難問を解決するかということである。
解決方法は核ではなく人権にある。この基本的な事実を見逃したすべての政策は、基本的に空振りになってしまうだろう。