北朝鮮の朝鮮中央通信が19日に、今年を2012年強盛大国実現の基盤を整える年として評価する報道文書を発表し、その背景に関心が集まっている。
北朝鮮は毎年1月1日に『新年共同社説』を通じて、前年の事業の決算と新年の政策の方向を発表してきたため、今回朝鮮中央通信社が報道で1年を決算したのは非常に異例のことだ。
98年以後、北朝鮮が朝鮮中央通信社の報道の形で1年を決算したのは、04年12月の金正日の先軍政治10周年と05年10月の労働党創立60周年だけだった。
同通信は『朝鮮中央通信社の報道』というタイトルで、「革命的な大高潮の烽火が全国に広がり、先軍朝鮮の全盛期が始まる歴史的な年として輝いた。社会主義の自立経済に大きな力を注いでいる。2012年に強盛大国の扉を勢いよく大きく開く確実な保証が整った」と評価した。
今年、150日戦闘や貨幣改革など国内を整備するために様々な事業を行った北朝鮮当局が、このように強盛大国建設の基盤を整えた年と宣伝したのは、混乱に陥っている社会を鎮めて、社会主義経済体制への復帰を正当化するためと考えられる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面金正日は今年初めに、3男のキム・ジョンウンを後継者に指名し、3代世襲を正当化するために北朝鮮国内向けの宣伝や扇動に拍車をかけた。そのためこのような発表には、強盛大国の基盤を整えた業績を後継者のジョンウンのものにする意図があるとも解釈できるが、体制の安定が何よりも重要であるため、後継者問題について本格的に言及することはないと思われる。
実際に北朝鮮は今年、『金日成の100歳の誕生日にあたる2012年に強盛大国を建設する』という目標に向かって国を挙げて取り組んできた。ヒチョン火力発電所の建設をはじめとし、大規模な産業建設事業、数叙恁ャの住宅建設、公共施設の建設など膨大な規模の建設事業も進めた。
過去にも対内外的に困難に陥ると、経済的な逃げ口を作ったことがあった。住民の労働力を極度に集中させ、短時間で生産力を増大する。こうした大衆革新運動をしてきた。しかし今年は150日戦闘に続き、100日戦闘まで相次いで行うなど、1年中『努力動員運動』が続いた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮当局は、9月25日に150日戦闘を終えることを発表し、その期間に生産計画が目標の11%以上達成されたり、工業生産が前年比1.2倍成長したと報告した。しかし実際には宣伝とは違い、150日戦闘のような努力動員運動は成果よりも副作用が多かったといわれている。
内部消息筋によると、北朝鮮当局は150日戦闘の期間に金属工業と農業の生産を含む人民経済全般で、『革命的な大高潮』を達成しようと唱えたが、燃料と電力不足のため生産目標は達成できなかったという。それ以外にも、2012年に完成することを目標に企画した大きな国策事業が、資材不足で相次いで中断する羽目になった。
また、市場統制などを強化して米の値段を上げるなど、人民の生活にも悪影響を及ぼした。下半期には絡垂烽ケず貨幣改革まで行い、市場で生計を立てていた住民の暮らしを荒廃化させてしまった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面同通信は政治・軍事関連の成果として、「朝鮮の技術で作った人工衛星、光明星2号が打ち上げに成功した。衛星を軌道に簡単に乗せたことで、朝鮮の宇宙技術の発展に新しい印ができた」と主張した。しかし、日米韓の情報当局は北朝鮮が発射した人工衛星が軌道に乗らなかったことを明らかにし、光明星2号の打ち上げは大陸間弾道ミサイル技術を試すために行ったと見ている。
当時専門家らは、衛星の開発と発射の費用は2千億ウォン〜5千億ウォンだろうと予想した。北朝鮮が長距離ミサイル発射にかけた金額があれば、慢性的な食糧難を解消することができるという非難の声が高まった。
同通信はまた、今年の金正日の現地指導について、「歴史にない超強度のゲリラ式強行軍」と表現して、「朝鮮全国をお訪ねになり、縦横無尽な活躍ぶりをお見せになった。人民を率いる金正日将軍様の領導が、千万人民の精神力を火山のように噴出させた」と評価した。
12月中旬までに公開されている金正日の活動は156回で、前年に比べ1.7倍増加している。今年の活動の特徴は、軍より経済分野に関する公開活動が多かったことがあげられる。150日戦闘など生産力を増大するための活動を最重要視していたことが分かる。
結果的に今年は、金正日の健康がある程度回復し、強盛大国を目指して国内を整備し、飛躍のために様々な政策を進めてきた年だったといえよう。しかし目立った成果も上げられず、ひたすら内部統制を強化したため、住民の生活力がむしろ弱まった1年だった。