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熾烈な受験戦争で知られる韓国では、ありとあらゆる問題集が売られている。韓国版センター試験の「修学能力試験」の過去問題集は、受験生にとっては必須アイテムだが、なぜか北朝鮮で需要が高いと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

中朝を往来する情報筋は、「韓国の過去問題集は科目を問わず北朝鮮でも大人気だ。北朝鮮の中クラスの教育ママが集まると、韓国の問題集のことで持ちきりになる」と語りながら、RFAの取材者に対して「手に入れてもらえないだろうか」と持ちかけたという。

北朝鮮で、大学受験を目指す高校生を教える家庭教師にとっても、韓国の過去問題集は欠かせないものになっているというのだ。

高級幹部の子どもたちの間では、すでに数年前から使われており、それに沿った指導をするのが当たり前になっている。

実は、韓国の過去問題集は、北朝鮮の市場の本屋で販売されている。韓国で出版された原本ではなく、中国の吉林省延辺朝鮮族自治州の出版社が、版権を購入して出版したものを、北朝鮮に密輸入し、ひそかにプリンターで印刷されたものだ。

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もちろん、韓国の出版物ゆえにご禁制品。かさばるため、税関を通過する際に他の荷物に紛れ込ませることも非常に困難だ。そのため、北朝鮮国内では品薄になりがちだという。

慈江道(チャガンド)の情報筋によると、現地の市場で売られている問題集は最新のものではなく、2013年度版だ。親たちの間から「そんなに昔のはいらない」との声が上がり、もともと中国人民元で300元(約4570円、コメ81キロ相当)だったものが値崩れを起こし、120元(約1830円、コメ32キロ相当)まで下がったという。

それでも、中国の書店では40元(約610円)前後、韓国では1万5000ウォン(約1300円)前後で売られていることを考えると、とんでもない高値だ。当然、貧困層には、とても手を出せる代物ではない。

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各教科の問題集があるが、英語と数学は第1高等学校(エリート学校)や高級中学校(高校)の生徒の間で人気だ。

一方で、社会文化と歴史の問題集を買い求めるのは、高校生ではなく、知識人だ。その理由について情報筋は触れていないが、おおよそ、次のようなものだと推測される。

英語や数学と異なり、社会文化や歴史などの社会科学系は、南北で教える内容がまったく異なるため、生徒たちにとってはあまり意味がない。

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しかし、知識人にとっては、問題集が世界への窓となりうる。つまり、当局により歪曲されていない朝鮮史、世界史、外国事情を問題集を通じて知ることができるというわけだ。