世宗研究所のチョン・ソンジャン首席研究委員が9日、北朝鮮の最近の宥和政策が、金正雲(キム・ジョンウン)後継体制の構築と緊密に関連しているため、今後政府はこのような状況に備えて、北朝鮮内の実用主義を追求する幹部の立地を強化するための政策を推進しなければならないと指摘した。

チョン研究委員はこの日、世宗研究所主催で開かれた「北朝鮮の核問題と北朝鮮体制の変化」というフォーラムに先立ち配布した論文で、北朝鮮は6月頃までの後継体制の構築過程で、内部結束のために対外関係で緊張を高めることが必要だったので、外部世界の立場を完全に無視して、軍部中心の超強硬政策を追求したと主張した。

韓国政府の対北政策については、「北朝鮮の非核化と北への影響力の拡大に、対北政策の焦点を合わせなければならないだろう」と述べ、「北朝鮮内でキム・キナムやキム・ヤンゴン、チャン・ソンテクなど相対的に実用主義的なエリートの立地が強化されるように、北朝鮮と対話と協力を発展させて行くことが必要」と主張した。

特に、今後の急変事態について、金正雲が金正日委員長ほどの確固とした軍部掌握を実現して統制するまで今後長い期間が必要であり、近い将来、金正日が急に死亡したら北朝鮮の非核化が後退する可能性もあると言い、「韓国とアメリカは金正日が生存している時に、6カ国協議を通じて最低限北の核廃棄のロードマップまでは導出することが重要」と強調した。

これについて、開かれた北朝鮮放送のハ・テギョン代表は、「現在、金正雲の後継と関連して、北朝鮮内では親金正雲と反金正雲に雰囲気が分かれているため、私たちはこのすきをうまく活用する戦略を開発する必要がある」と述べ、「北朝鮮が核を保有している状態で積極的に開放戦略に乗り出す時、韓国はその開放のすきを、北朝鮮内に非核開放勢力を育成するために積極的に活用する必要がある」と主張した。

ハ代表は今後北朝鮮が取ると思われる態度については、「金正日にとっては政策の最優先順位は安定した後継体制の構築と、核保有国として承認されること」と述べ、「北朝鮮は対外的には核保有国として認められるために強硬、穏健戦術を並行させるはずであり、対内的には後継体制の構築に拍車をかけるだろう」と予想した。

チョン研究委員が非核化のために実用主義勢力の立地を拡大させる法案として交流・協力を挙げた一方、ハ代表は現執権勢力ではない、非核開放勢力の育成に着手しなければならないと主張した。非核開放勢力が政権をにぎらない限り、北朝鮮の非核化は不可能ということだ。

ハ代表は「北朝鮮の完全な非核化は、北朝鮮内の非核開放勢力が育成されて、彼らが政権をにぎらない限り不可能と思われる」と述べ、「(政府は)北朝鮮内の非核開放勢力の育成と、北朝鮮の住民の意識の覚醒のための対北放送の活性化、北朝鮮内への多様な情報の流入などの活動を強化する必要がある」と強調した。

特に、「韓国政府は核問題よりも北朝鮮の譲歩を誘導することができる、他の事案の交渉を並行して行う必要がある」と述べ、「拉致被害者や国軍捕虜、北朝鮮の人権改善などをイシュー化する必要がある」と指摘した。