北朝鮮の労働鍛錬隊に不法取引の罪で収容される経済犯罪者が増える中、地方の保安員たちが彼らを脅して金品や裏金を騙し取っているという脱北者の証言が紹介されている報告書が発行される。
ワシントンポスト紙(6日付)によると、アメリカ議会が設立した東西センター(EWC)が、今週発表する『北朝鮮の抑圧と処罰』という報告書を通じて、北朝鮮ではこれまで体制を批判する政治犯だけを収容していた労働鍛錬隊に、一般の経済犯罪者も収容して金品を奪う、いわゆる『マフィア式』統制国家の様相が見られるようになったと指摘した。
東西センター(EWC)は04〜05年に中国国内の11ヶ所で脱北者1346人に、また08年には韓国で300人の脱北者にインタビューした。インタビューの対象者は30代後半が多く、北朝鮮では農業に従事したり労働者として働いていたという。
同報告書によると、最近北朝鮮では一部の市場を中心に品物を売買する行為が増えているという。深刻な食糧難にさらされている住民にとって、市場は食糧が得られる主要な供給先の役割を果たしている。だが、北朝鮮ではこのような取引行為が法律で禁じられているため、そうした取引をしている住民を逮捕して、経済関連の罪を着せて収容所に送っているという。
彼らを逮捕する保安員(警察)には、逮捕した人を裁判無しで収容所に送ることができる権利がある。そのため、逮捕された人が保安員に賄賂を差し出して釈放してもらうことがある。低いレベルの労働教化所に収容されている商人の2/3がそのような方法で1ヶ月以内に釈放されているという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面特に、労働鍛錬隊に入れられた人には拷問や餓えで死んで行く人を見せて恐怖感を与えているという証言もある。その後、市場でまた商売をして再び逮捕された人は、当時の光景がトラウマとなり、恐怖感から保安員にすんなりと現金を渡すようになるそうだ。
この報告書を作成したピーターャ桃総ロ経済研究所のマーカス・ノーランド先任研究員と、カリフォルニア大学のスティーブン・ハガード教授は、「北朝鮮が政治犯を弾圧するために作ったスターリン式の強制収容所を、住民を統制して金を奪う目的に使っていることが確認された。これが今回のインタビューや分析から得た、重要な成果だ」と説明した。
ノーランド先任研究員は「純粋な意味での政治犯収容所もあるが、次第に金品を奪う目的で利用されるようになってきている。賄賂や金品を奪うことが、北朝鮮の地方政府の官吏にとって、生計を立てる非常に重要な手段になっている」と指摘した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ワシントンポスト紙は同報告書について、「北朝鮮の中央統制経済システムが崩壊し、私設市場が急増しているが、この数年間北朝鮮で住民統制や弾圧がどのように行われているのか、その変化を見せる初の社会科学的試み」と評価した。