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これまで、6編の企画記事を通じて北朝鮮の教育の崩壊とその原因について分析してきた。また、北朝鮮の教育の崩壊による10代の青少年の非行と犯罪が社会的な問題になっている点について見てきた。

北朝鮮の未来は10代にかかっていると言っても過言ではない。北朝鮮だけではなくどこでも同じだが、特に今後北朝鮮が改革開放して民主化に向かう際に、10代の役割が重要になるだろう。したがって、北朝鮮の教育を正常にすることこそ、今後の北朝鮮の民主化の過程で、国際社会が関心を持たなければならない点である。

次に、10代の関心事と流行について見てみたい。金正日政権がいくら外部の情報の流入を遮断しようとしても、「手の平で天を分けることができない」という言葉があるように、北朝鮮内部で自由主義の波はますます拡散している。

特に、北朝鮮では10代が外部の情報に一番敏感に反応している。もちろん、商売をしている大人も外部の情報に接しているが、10代はスポンジのように速く、外の情報を吸収している。そのため現在10代は、北朝鮮で外部の情報を流通させて電波させる、いわゆる尖兵の役割を果たしている。

90年代末の「苦難の行軍」の時期に、貧しかったが都市にはオートバイが増えて、テレビやビデオ、自転車などの家電製品が増えたという。

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現在、北朝鮮の10代が一番持ちたがるものは自転車やオートバイ、中国製の靴、mp3、デジタルカメラ、ノート型パソコンなどだ。もちろん最新型ではなく、中国や日本の中古品やブランドのない安価な製品だが、服で家柄を評価していた80~90年代とは対照的だ。

これについて内部消息筋は、「もちろん都市と農村によって差があるが、都市の子供たちの間ではオートバイ、農村の子供たちの間では日本製の中古の自転車を持つことが流行っている」と言い、「最近では1つの人民班に(30世帯)オートバイがある家が7~8軒はあり、よい暮らしをしている人が多い町内に行けば半分あるいは 30%以上の家にオートバイがある」と主張した。

また、「バイクはガソリンの値段が高いため、特別な商売をする時や節日を除いてはあまり乗ることがない」とも話し、「だいたい平日には自転車に乗っている」と証言した。

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流行に付いて行こうとする10代の努力は、戦闘も彷彿させる。お金がある家の子供たちは両親にせがんで流行を追っているが、お金がない家の10代は、流行に付いて行くために自分でお金を稼いでいる。

今年初めに咸鏡北道茂山郡から北朝鮮を脱出して韓国に来たチョン・チョルホ(仮名 36歳)さんはデイリーNKとのインタビューで、「お酒やタバコを密輸していたのは遥か昔のこと」と言い、「今の若者はmp3やUSB、DVD、中古のノート型パソコン、カメラや韓国製の化粧品、ライター、玩具、靴下、靴などを主に密輸している」と明らかにした。こうしたものを密輸してお金を稼いでいるが、自分の欲求を満たすためにお金を使っているそうだ。

最近北朝鮮で大量に広まっているmp3を見るだけでも、10代の流行を知ることができる。

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消息筋は「このごろの子供たちは、コンピューターが何をする品物なのか分からなくても、少なくともキーホルダーとしてmp3を1つくらいはつけていなければならない」と話し、「市内や都市に住んでいる中学生は、mp3くらい持っている子は、食べられる家の子だと思われている」と伝えた。

子供たちは「食べられる家」だということを誇示するために、食事を抜かしてでもmp3を持っていなければならないし、子供たちがいじめられることを恐れる両親もわずかなお金を貯めてそうした品物を買ってやっているという。

外国の商品に対するあこがれはこれだけではない。文化的な側面からも、今日の10代は北朝鮮全体を変えつつある。

北朝鮮政府の厳しい取り締まりを避けて、外国のDVDや韓国の歌を伝えているのも10代だ。面白い外国映画があれば、クラスの友逹が家に集まって一緒に映画を鑑賞して、自分たちが持っているDVDを他の子と交換して見ることも10代が中心になって行っているという。

消息筋はこれについて、「軍官(将校)たちは『今の子供では全国統一ができない』と露骨に言っている」とも言い、「同志のために犠牲になったり、祖国のために血を流すということは夢にも見られない」と明らかにした。社会主義国に対する主人意識は失せ、外部の情報に接するようになり、10代の意識が変わっているということである。

消息筋は「子供も『国が自分たちにしてくれたことが何かあるのか。自分たちに国のために働けというのか』と躊躇せずに不満をこぼしている」と言い、「今の青少年に昔の父たちの世代の功績を話してやると、『それだけ働いたと言うのに、私たちはどうしてこんな暮らしをしているのか』と嘲笑う」と話した。

消息筋は「いくら教育しても、外部の情報を聞く青少年の意識の変化を阻むことはできない」と言い、「彼らの世代で祖国は大きく変わるはずで、また彼らの前でこれまでの世代は残酷な批判の対象になるだろう」と嘆いた。