京幾道ヨンチョン郡でキャンプや釣りをしていた人たちが、突然急流に流されて失踪する惨事が起きた。失踪者6人のうち、数人が遺体で発見された。
犠牲者は家族や友人と一緒に水遊びや釣りを楽しみ、川辺で深い眠りについていたが、明け方頃急に川の水が増えて事故にあった。
現場の情況から、北朝鮮政府が予告なしに黄江ダムの水を放流したため起きた惨事だったと思われる。黄江ダムの貯水量は3~4億トンにも達するという。パルダンダムの1.5倍の規模だ。大量の水を貯めることができるダムを急に放流すれば、下流で甚大な被害が発生するという事実は常識的に分かることだ。
にもかかわらず、北朝鮮政府は韓国政府に通知せずに黄江ダムの水を放流した。洪水を調節するための放流だったのか、水門の故障による事故だったのか、あるいは政治的目的による意図的な放流だったのかはまだ分かっていない。
明らかなことは、どのような場合であれ北朝鮮政府が放流の事実を事前に知らせていれば、最悪の事態を阻むことができたということだ。したがって、今回の惨事の1次的な責任は北朝鮮政府にあるといえるだろう。韓国政府が北朝鮮政府に事件の経緯を問い、その責任を厳しくたださなければならない理由がここにある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮は2002年に、臨津江の上流で黄江ダムの建設に着手した。工事が終わり、ダムに水を貯め始めたのは2007年だった。北朝鮮政府が黄江ダムを建設して貯水したのは、臨津江の水がイェャ桃]に向かうように水流を変えて発電をして、開城工団に生活用水と工業用水を供給するためだったという。
こうした事実が知られるようになり、臨津江の水流がイェャ桃]に回されれば、臨津江の下流に位置する京畿道で、年間およそ3億トンの水が不足する可能性があるという主張も出た。梅雨時に黄江ダムの水が一度に放流されたら、洪水が起きるだろうという懸念の声も上がっていた。
だが韓国政府は、この問題を解決するために積極的に動こうとしなかった。政府は当時の南北関係がよくなかったからだと抗議するかも知れない。しかし、京畿道ヨンチョンやパジュの住民の安全と生計が北朝鮮政府の手に握られる「現実的な脅威」が、あきらかに目前に近付いている状況だった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面韓国政府は、北朝鮮政府が黄江ダムを建設していることを国民に知らせて、積極的な対策を講じるべきだった。臨津江流域の現場を調査して、グンナム洪水調節地やハンタン江ダムの完工の時期を繰り上げて、国際機関を通じて説得し、圧力をかけてでも臨津江流域に対する南北共同管理機関を作らなければならなかった。
だが、政府はあまりにも安逸だった。結局、政府が何も対処しなかったため、今回のような惨事が起きた。
韓国政府はまず、北朝鮮政府に経緯の解明と謝罪を要求して、厳しく責任を問わなければならない。同時に、臨津江水系の共同管理方案を直ちに作り、京畿道のヨンチョンとパジュの住民の生命と安全を守り、市民が生計を保障できるように対策を立てなければならない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面もちろん、北朝鮮政府が韓国の要求に応じない可能性に備えた対策も整えなければならない。
対策には必ず、北朝鮮政府に「重い罰を与えること」が含まれなければならない。対話と交渉が難しい場合は腕力も必要である。この数十年間の北朝鮮政権の行動から得た教訓を忘れてはいけない。