北朝鮮が7日、臨津江(イムジンガン/リムジンガン)の水害事故に関して、韓国政府が送った通知文に対し、「北朝鮮側のダムの水位が上がったため、5日夜から6日の明け方にかけて緊急放流を行った」と認めた。
北朝鮮はこの日午後、「北朝鮮側関係機関」の名義でこのような内容の答弁通知文を送り、「臨津江下流の被害を防止するために、今後北朝鮮から大量の水を放流する際には、韓国に事前通告する措置を取る」と伝えたと、韓国の統一省が発表した。
統一省はこの日の午前、板門店を通じて国土海洋省長官名義の通知文を送り、臨津江のダムの水を事前通告もせず放流し、韓国国民6人が行方不明になるなど大きな被害が発生したことに対する遺憾の意を示し、今回の事故の原因に関する説明を要求した。
北朝鮮が韓国の通知文に対し、その日のうちに答弁の通知文を送ったのは異例なことだという。
北朝鮮は水位調節の目的で放流したと述べているが、ダムのある地域やその付近で雨が大量に降っていないため、虚偽の回答である可能性が高い。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面気象庁によろと、9月に入って黄江ダムがある平康(ピョンガン)で雨が降ったのは5日の1日だけで、降雨量は0.2ミリで、先月30日にも降雨があったが、7ミリ程度だったという。
さらに、平康では当分の間大雨が降らないと予想されているため、北朝鮮が洪水調整の目的で、急遽黄江ダムの水を放流した可能性は極めて低い。
このように降雨量が少ないにもかかわらず、北朝鮮の主張通りに黄江ダムの水位が上がったため放流せざるをえなかったのであれば、今回の事件を引き起こすために北朝鮮が長期間に渡って水を貯めていた可能性があるとも考えられる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮が事実と違う理由を挙げて事故を起こしたのは、韓国政府に対話を促すためだという分析も出ている。
つまり、臨津江の水害事故は偶然を装った北朝鮮の意図的な「水攻め」だった可能性が高いということだ。最近宥和策を続けているにもかかわらず、韓国が対話に積極的ではないため、挑発して1日でも早く対話を再開することが狙いだという分析だ。
国防大学のキム・ヨンス教授はデイリーNKとの電話インタビューで北朝鮮の思惑について、「今回のことは北朝鮮側で起きた金剛山銃撃事件とは違う問題で、今回のことを通じて北朝鮮は、南北間には対話が必要な様々な問題があるということをアピールして、韓国を対話のテーブルにつかせようとしているのだろう」と分析した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ダム放流は、韓国と北朝鮮が協議しなければならない問題だ。北朝鮮が前日に放流した4000万トンは黄江ダムの1/10の水量だったが、北朝鮮が挑発する目的で突然大量の水を放流した場合、深刻な事態を招く恐れがある。
北朝鮮が協議をする前に、「大量の水を放流する時は韓国に事前通報する」と伝えてきたことを考えると、今後の交渉でも北朝鮮は宥和的に取り組む可能性が高い。臨津江地域の共同水域に関して、南北協力にも積極的な態度を見せて、韓国政府から別の支援を引き出そうとする狙いがあるとも予想され、韓国政府の対応が注目されている。