人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

北朝鮮が、カンボジアに建設・オープンした博物館が、国際社会の経済制裁により、苦しい運営を強いられていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

博物館「グランド・パノラマ・ミュージアム」は、万寿台(マンスデ)芸術社所属のアーティスト63人が、クメール帝国の歴史を描いた巨大パノラマの制作のために派遣され、2400万ドルの予算が投じられた。

世界文化遺産「アンコール・ワット」で有名なシェムリアップ市に位置する。北朝鮮が外貨稼ぎを目的に投資したものとして、世界各国のメディアで取り上げられるなど、話題を呼んだ。当初は2013年オープンを目指していたが、大幅にずれ込み昨年12月、ようやくオープンにこぎつけた。

オープンが、ずれ込んだ理由は北朝鮮とカンボジアの間での利益配分。両国間で交渉が難航していたが、北朝鮮は今後10年間で投資金を回収、それ以降の10年間は利益の半分をカンボジア当局に渡し、残りを北朝鮮が得ることで合意した。

しかし、オープンから4ヶ月が過ぎたが、博物館は閑古鳥が鳴いている状態だという。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

「グランド・パノラマ・ミュージアム」の入場料は外国人20ドル。これはアンコール・ワットそのものの入場料と同じだ。また、3日券(40ドル)、7日券(60ドル)と比べると、むしろ本家本元のアンコール・ワットの方が安くなる。

様々な出土品が展示されているアンコール国立博物館は12ドル、内戦中に埋設された地雷の悲惨さを伝える地雷博物館は4ドルなど、いずれもグランド・パノラマ・ミュージアムよりは安くなっている。

このような強気の値段設定は、北朝鮮当局が韓国人観光客が大勢訪れると見込んでいたからだ。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

韓国人観光客は、物珍しさもあり海外にある北朝鮮レストランを多く訪れていた。北朝鮮経営の博物館となれば、韓国人が多く訪れるだろうと見込んでいたようだ。

年間30万人に達する観光客の一部でも誘致できれば、投資金を回収し、利益を出すのはさほど難しくないだろうというのが北朝鮮当局の目論見だったが、これが見事に外れた。その理由は経済制裁だ。

韓国政府は、対北朝鮮独自制裁の一環として、海外にある北朝鮮レストランの利用を自粛するよう呼びかけている。その影響もあり韓国人の団体ツアーがほとんど来館しない。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

シェムリアップ韓国旅行社協会のパク・テプン会長は、「博物館に加えて市内にある北朝鮮レストラン2軒を訪れる韓国人観光客も激減し、他の外国人観光客もほとんどやって来ない」と述べる。

博物館はホームページでフン・セン首相の夫人が博物館を訪れた際に撮影した写真を公開したり、カンボジア人向けに「半額クーポン」を配布したり、館内の一部照明を消すなど、様々な対策を取っているが、焼け石に水だろう。