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北朝鮮では、毎年4月15日の太陽節(金日成氏の誕生日)に全国の子どもたちに、お菓子セットが配給される。しかし、今年はすべての子どもに行き渡らない可能性が浮上した。その理由は対北朝鮮制裁。中国が北朝鮮向けの小麦粉の輸出をストップしているからだ。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、労働党から「太陽節に配給される子ども向けのお菓子セットの製造を3月末までに終えよ」との指示が下された。それに伴い、各地の食品工場では「お菓子生産徹夜戦闘」が展開されている。

また、各貿易会社にも「お菓子の原材料を忠誠の課題として上納せよ」との指示が出され、「輸入戦闘」が繰り広げられている。今までずっと繰り返されてきた年中行事だが、今年に限って問題が生じている。

砂糖、食用油、包装用のビニールは経済制裁の対象品目ではないため、中国からの輸入に問題はないが、なぜか小麦粉だけは北朝鮮側が輸入しようにも税関で止められるという。中国から輸入するためには、「小麦粉輸出許可証」が必要で、半年に一度更新することになっている。しかし、中国当局は許可証を発行しようとしないのだ。

この事態に、北朝鮮の貿易会社は大慌てだ。中国当局の急な輸出規制に、北朝鮮側の貿易担当者は困惑しきっている。だからと言って、期日までに小麦粉を輸入できなければ、どんな目に遭わされるかわからない。そこで担当者は違法な手段で、小麦粉を輸入している。

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その一つが、小麦粉の袋を家畜が餌を書かれた麻袋に入れる「偽装輸入」だ。これならば中国の税関で止められない上に、関税も安く済む。

もう一つの方法は、船に小麦粉を満載して密かに北朝鮮に向かう「密輸」。

もちろん、どちらも違法行為だが、北朝鮮当局は問題視しないばかりか「経済制裁をされているからしょうがない」とむしろ密輸を奨励する雰囲気だという。

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中国政府が、小麦粉輸出を規制する正確な理由は定かではないが、情報筋は次のように分析する。

「北朝鮮では、小麦は主食ではない。輸出を止めても住民の食生活には、大きな影響を与えないことから、中国が国際社会に制裁を積極的に履行しているアピールをするために、輸出規制をしているのではないか」

この情報筋は、太陽節にお菓子が配給できないとなると北朝鮮政府のメンツは丸つぶれになるということをよく知っている中国政府は、小麦粉を利用して北朝鮮に圧力をかけているとも述べた。