北朝鮮の住民が韓国の住民の生活について関心を持ち始めたのは、光州民主化抗争の消息を、北朝鮮がテレビで中継してからだった。その後、林秀卿が平壌を訪問して、韓国の大学生の文化と全大協を含めた大衆運動団体に対する関心も高まった。
こうした中、北朝鮮政府が自分たちの対南戦略に合わせて韓国に対して歪曲した宣伝を流したため、これと関連したデマが絶えず拡大再生産された。最近、中国を訪問する人や韓国映画などを通じて、外部社会の消息が知られるようになり、住民の意識も高まっているが、相変らずその水準は低い方だ。
1) 金大中と大宇グループの金宇中会長は兄弟?
北朝鮮の住民は、韓国の金大中は現代グループのチョン・ジュヨン会長くらいお金持ちだと思っている。資本主義はお金があれば何でもすべて解決できる社会だから、金大中は民主化運動をしているが、あまりにもお金が多くて朴正煕も手を出すことができなかったと思っている。
北朝鮮の住民の多くが、金大中と大宇グループの金宇中会長は兄弟だと考えている。金大中は政治運動をして、金宇中は大宇グループの会長としてお金を稼いで、金大中を後援しているという内容だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮の住民は「大宇グループ」についても、金大中の「大」の字と金宇中の「宇」の字を取って「大宇」という名前をつけたと思っている。特に、北朝鮮政府が「大宇グループ」が解体した後、内部の宣伝を通じて「大宇グループ破壊策動は、米帝の悪辣な策動」と宣伝したため、こうしたうわさがさらに拡散した。
北朝鮮の住民たちは、「アメリカのやつらが民主化活動家であり、反米闘士である金大中を孤立させるために、『大宇グループ』を滅ぼした」という言葉を信じている。
2) 80、90年代の学生運動の焚身自殺は全大協が強要したこと?
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面林秀卿の平壌訪問と同時に、韓国の民主化の過程で、大学生たちが焚身自殺したことに対して、北朝鮮の住民の多くが関心をよせた。韓国の国家保安法が適用されれば「南山の地下室」で顧問を受けて、誰も知らないうちに殺されるだけでなく、家族まで全員被害を受ける苦痛にあうのに、どうして焚身自殺ができるのかという疑問だった。
北朝鮮の住民は韓国も北朝鮮と同じように、家族の誰かが政治犯になったら、「連座制」が適用されると思っている。北朝鮮では、自殺した人は「金正日政権に対する反抗」の表れと見なされて、孫子まで代を継いで被害を受ける。
そのため北朝鮮の住民は、家族まで弾圧されるという大きな被害を甘受して「焚身自殺」したり、北朝鮮を訪問する大学生を理解することができなかった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮政府はこれに対して、「『全大協』には鋼のような規律があり、組職の規律を破る者は必ず処断される」と伝え、「焚身自殺も全大協が指定すれば、指定された大学生は無条件自殺しなければならない」と説明した。
北朝鮮の住民はさらに、指定された焚身者が焼身自殺をしなければ「全大協」が「被疑復讐」をして、「全大協は生活が貧しい学生を焚身自殺者に選んで自殺させて、彼らが死んだ対価として家族の面倒を見てやっている」と信じている。一種の自殺テロ組職のような概念として理解しているのだ。
3) 韓国にはにせ物の朴正煕が、他に3人いた?
朴正煕元大統領が生きていた時は、にせ物の朴正煕を作って身近保護をしていたと、北朝鮮の住民たちは信じている。16世紀に日本にいたという、主人や将軍の代わりになる影武者と似た概念だ。
北朝鮮の住民の間では、1968年1月21日の北朝鮮軍の「青瓦台奇襲事件」の時に、朴正煕を射殺することができなかった理由は、にせ物の朴正煕にだまされたからだといううわさも広まった。
北朝鮮軍の特攻隊が「青瓦台奇襲」に成功して、実際には朴正煕の首をとったが、本当の朴正煕ではなくにせ物の朴正煕だったという話だ。
北朝鮮では、朴正煕は身近の安全を守るために、常に「中央情報部」の地下特別室で生活していたが、その事実を知らなかった北朝鮮軍は、にせ物の朴正煕の首をとって、脱出する過程で韓国軍の追い討ちを受けてほとんどが犠牲になった、そして最後の3人が朴正煕の頭を持って休戦ラインまで到逹できたが、幾重にも取り囲まれた国軍の包囲網をくぐることができなかったと伝わっている。
特に、北朝鮮軍は仕方なく、朴正煕の頭を北側において爆弾を爆発させて自決したが、爆発した時に起きた暴風で朴正煕の頭が北朝鮮まで飛んでいった。北朝鮮政府が朴正煕を処断したと発表しようとした瞬間、韓国のテレビに本当の朴正煕が現われて自分が生きていることを知らせたので、「青瓦台奇襲事件」は胸が痛む失敗として記憶されることになったということだ。
4) 光州民主化抗争が失敗したのは、「女色心理組」のせい?
北朝鮮の軍人と住民は、韓国の安全企画部(現国情院)に「女色心理組」があって、彼女たちが民主化活動家や対南スパイを監視して懐柔し、残忍に殺害していると信じている。
実際に北朝鮮政府は、今までもこうした話を描いた「女色心理作戦」というドキュメンタリー番組を製作して、軍人たちのための教養資料として使ってきた。
北朝鮮の住民の間では、韓国の「女色心理組」に対するうわさがかなり広まっている。悪質な地主や資本家の子供の中から、外貌がすぐれた女性を選んで、男性を誘惑する方法や残忍に殺害する方法まで体系的に教育しているという内容だ。
「女色心理組」のメンバーは、民主化運動の活動家や北朝鮮の工作員の主張を変えさせるために体で懐柔して、最後まで反抗する者は素手で殺して、残忍に死骸を傷つけるという。
そのため、光州民衆抗争が失敗したのも「女色心理組」のためだと言われている。全斗換が「女色心理組」をデモの群衆に紛れ込ませて、光州民衆抗争の指導部を探知して、核心人物を逮捕、殺害したと北の人たちは信じている。
甚だしくは、光州民衆抗争のドキュメンタリー番組を見て、市民が列になって連行されているある場面を指摘して、「あそこの男性の後ろで、頭を下げて引かれて行く女性が『女色心理組』の大将」とまで言っている。
5) 現代自動車が生産する「アリラン自動車」は世界最高の自動車?
北朝鮮の住民は韓国の現代が作った「アリラン」自動車が、世界最高級の自動車であり、「世界自動車祭典」で特等賞をもらった車だと思っている。
北朝鮮の住民の間で韓国が作ったといううわさが立った「アリラン」自動車の神話は、かなり幻想的なものである。
「アリラン」自動車は、運転手がお酒を飲んだら自動的に警告音が鳴って、エンジンが動かないだけでなく、車のドアを開ければ自動的に椅子が外に出るので、腰を曲げて乗る不便さがないと北の人たちは思っている。また、運転手がうとうとしたら自動的に警告音が鳴って、運転手の目を覚ましてくれると考えている。
こうしたうわさが流れるようになったのは、ソウルのシェラトンホテルで開かれた「南北離散家族再会行事」で、韓国政府が祝賀の公演を行った際に流れた「アリラン」の歌の字幕と一緒に、現代自動車の広告が映ったからだった。広告文化に対する知識が全くない北朝鮮の家族たちは、「アリラン」の歌の時に出た自動車の広告を見て、自動車の名前が「アリラン」だと間違えたのだった。
このような話が急速に広まり、住民の間では金正日が直接韓国の「アリラン」自動車を数台買って、自動車の技術者たちを呼んで、「私たちもあのような乗用車を作って見ろ」と指示したが、北朝鮮の技術者は遂に作ることができなかったといううわさも広まった。韓国の技術力は世界的な水準という評価と一緒に、こうしたうわさが流れている。(続く)