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北朝鮮当局が「爆薬」の取り締まりを強化しているという。5月の朝鮮労働党大会に向けて「テロ防止」という目的もあるが、それだけでなく、北朝鮮の一部で「爆薬」が非常にありふれたものだという事情があった。

北朝鮮の刑法215条には「爆発物製造、携帯、使用、譲渡罪」という条項がある。しかし、にわかに信じがたい話だが、北朝鮮北部で禁止条項はあまり効力を発揮していないと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝える。

RFAの両江道(リャンガンド)の情報筋は次のように語った。

「最近、人民保安部(警察庁)は『建設用の爆薬や引火性物質を所有している者は、該当機関に即時提出せよ』という内容の特別警告文を発表した」

人民保安部の「お達し」は通常、人民班(町内会)の会議で伝えられるが、今回に関しては人民班長が各家庭を回って、違反物質がないかを確認した上で、書類にサインをさせるなど、いつも以上に統制が厳しくなっている。

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一体なぜか。

「最近、人が集まりさえすれば、うわさ話をしたり、幹部の悪口を言ったりするので、当局は人が集まることを嫌がっている」(RFAの情報筋)

つまり、北朝鮮住民達の指導層への不平不満が溜まるなか、非常にありふれた「爆薬」がテロなどに使用されるのではないかと、当局は警戒を強めているのだ。

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そもそも、山岳地帯がほとんどを占め鉱山も多い両江道で、爆薬は日常的に使用される。建設現場から横流しされたり、窒素肥料を使って爆薬が作られるケースが多い。また、誰もこうした「爆薬使用」を誰も犯罪行為とは考えず、河では作った爆薬で「ダイナマイト漁」に使用したりする。

両江道の西隣の慈江道(チャガンド)でも状況は概ね変わらない。

現地情報筋は、「当局は党大会を控えて、内部の敵対分子による破壊行為を未然に防ぐために爆薬を回収している。さらに、無線操縦の玩具の中国からの輸入を禁止し、市場で売られていたものも回収している」と語った。

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しかし、当局がいくら取り締まりを強化してもさほど効果はないだろう。爆薬は、ガソリンや窒素肥料でいくらでも製造できるからだ。だからと言って、爆薬材料になる物資の輸入、販売、所有を禁止するわけにはいかない。中国から輸入されるプロパンガスも爆発物に利用できるが、これについては法の規制が全くない状況だ。