韓国とアメリカの主要サイトなどを麻痺させた分散サービス拒否(DDoS)攻撃の「7・7大乱」以降、この攻撃の背後に北朝鮮がいる可能性が最も高いと指摘されて社会的な問題になってきているが、北朝鮮はこれに対する反応を一切控えている。これは異例のことである。
国家情報院は今回のサイバーテロの背後には、北朝鮮や北朝鮮追従勢力がいる可能性が高いと判断している。
韓国とアメリカの主要機関を対象としてサイバーテロを行う意図がある集団は北朝鮮が唯一であり、先月27日にアメリカのサイバー脅威対応訓練である「サイバーストーム」を強く批判し、「あらゆる方法の高度な技術の戦争にも備えている」と主張している点も注目されている。
国情院は、中国の瀋陽所在の業者に偽装した、北朝鮮のハッカー組織の仕業であると疑い、中国を経由したIPアドレスを追跡している。だが、まだ北朝鮮の仕業というはっきりとした証拠を提示できていないため、これに関する議論も続いている。
北朝鮮は、韓国政府が北朝鮮の「北」という言葉だけでも口にしたら非難声明を出し、武力挑発の可能性をほのめかしてきた。しかし、国家情報院が乗り出し、サイバーテロの背後にいると目星をつけた問題に対して、直接的にせよそうでないにせよ沈黙するのは、納得しがたいという指摘が出ている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面国内で民主党をはじめとする左派陣営が、「北朝鮮背後説」の北風を利用しようとした陰謀だという政治攻勢を提起しても、そそのかしたり「南南葛藤」の手段として利用しないのは非常に異例なことである。
こうした北朝鮮の態度について専門家たちは、北朝鮮の沈黙が逆説的に「北朝鮮背後説」を増幅させる1つの証拠になるのではないかと語っている。
開かれた北朝鮮放送のハ・テギョン代表は、「北朝鮮の仕業でなければ、積極的に釈明したり、『共和国に対する謀略策動』の重要な証拠として使えるにもかかわらず、沈黙しているのは北朝鮮が背後にいるということを示す証拠になり得る」と述べている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ハ代表は、「北朝鮮はサイバーテロを行ったが、これにどう対応して行くかという戦略がまだ整っていないためかもしれない」と言い、「サイバーテロに対する具体的なプロセスが整った後、宣伝や戦術が出るのだが、まだ今後の戦略がはっきりと立てられていない可能性が高い」と話した。
脱北者出身のある専門家は、今回のサイバーテロは「前哨戦」の性格が強いため、これを「問題化」する場合、特よりも損が大きいという北朝鮮当局の判断が作用したようだという分析を発表した。
この専門家は、「テロの背後をめぐり、南北間の対決攻勢が強化される場合、これに対する国際的な警戒心を誘発して、中国での活動が萎縮するかもしれないという点を憂慮したと思われる」と言い、「対北制裁が強化されている中、サイバー活動に対する統制に火の粉が散る場合、サイバー戦に相当不利な影響を及ぼす可能性があると見ているようだ」と語った。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面公安問題のある専門家は今回のテロ行為に対して、北朝鮮が自ら南側にかなり大きな脅威を与えたという点に満足しながら、NCND(否定も肯定もしない立場で、外交では肯定の意味で解析される場合が多い)政策を維持することができると分析した。外交的責任は避けつつも、北朝鮮に対する恐怖感は今後も維持しようという意図があるということだ。
この研究官は「今回のテロを北朝鮮が行ったのであれば、彼らはサイバー網を撹乱させる実用的な経験を得て、高度に情報化された韓国社会に深刻な脅威を与えることができる点を誇示したと判断できる」と述べ、「北朝鮮としては自分たちのハッキング水準を世界に示して、軍事力に匹敵するサイバー戦の能力を備えているという点をはっきりと見せることができるのに、これを強く否認する理由はないだろう」と推測した。
だが、これに対する反論も手ごわい。今回のDDoS攻撃は、感染したパソコンを通じて集中的に韓国とアメリカのサイトを攻撃したが、個人が感じる危機感は大きくなく、攻撃対象になったサイトもトラフィックを分散させる方法として箔ョ的に対処してきたので、深刻な状況になったと考えるほどではないということだ。
つまり、北朝鮮の沈黙は今回の攻撃に満足していないという反対の状況に起因している可能性もあるという指摘である。
現在、警察や国情院、韓国情報振興院、個別の保安業者がサイバーテロを行ったハッカーのIPアドレスの追跡作業を進めている。従って、テロの背後が北朝鮮であることが明らかになるまでは、北朝鮮も状況を見守る可能性が高いと見られる。
ハ代表は、今後の北朝鮮の態度と関連して、「北朝鮮は本人たちがテロと関連しているという点を言葉を尽くして否認する政策をとってきたので、自ら認める可能性はほとんどない」と言いながらも、「金正雲の業績を讃えるために『彼は情報戦の天才』、『強盛大国はIT強国』といった表現を用い、遠まわしで自身のハッキング技術を誇示する可能性がある」と推測した。