北朝鮮政府が全党に渡って、金正日-金正雲に続く後継継承作業の一環として、金正雲の業績を増やすことに熱をあげていると、北朝鮮の内部消息筋が4日に伝えてきた。
内部消息筋はこの日、デイリーNKとの通話で、「5月29日に会寧市で党幹部の全員会議(各級の指導員が参加する会議)が開催されて、市の党の責任書記が、参加者に対して後継体制を宣伝する講演を行った」と述べ、「講演の題は『金正雲同志の無限な忠実性に従って学ぼう』だった」と伝えた。
今まで北朝鮮が軍部と中央の党で、金正日の後継事業を暗示する決意大会や集会を何度も行ったと伝わっていたが、市の党の次元で金正雲の名前を直接あげて講演を行った事実が確認されたのは今回が初めてだ。
この消息筋は、「講演は光明星2号の打ち上げと核実験の成功は全て、金正雲同志の業績であるだけでなく、金正日将軍様の領導思想を最もよく体現している人こそが、金正雲同志というのが主な内容だった」と話した。
北朝鮮では26日に平壌市で群衆大会が開かれ、その後28日には北朝鮮の大部分の市や道で、「自衛的核保有国慶祝群衆大会」が開催された。また、この日の午後には核保有を祝う公演や群衆舞踏会が開かれた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面そして翌日の29日の午前に、会寧で「核保有国の誇りを高く、強盛大国建設のすべての分野で、新しい奇蹟を創造しよう!」という市の党の全員会議が組職されたことが確認された。
消息筋は「全員会議が召集された時は、『核保有国になった誇りを抱いて、強盛大国を建設して新しい革新を起こそう』という講演が行われると聞いていたが、講演の内容は『核保有国になり後継者にもお仕えすることになったため、恐れることなく社会主義強盛大国の建設を急ぐことができる』という内容だった」と伝えた。
また、「講演者が後継者という言葉を直接言ったのか」という記者の質問に、「直接、後継者とは呼ばなかったが、みんな金正雲が後継者だということを知っているから、当然講演は後継者を称える内容だと理解していた」と説明した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面一方、脱北知識人の団体であるNK知識人連帯も前日に、「北朝鮮政府が金正雲を後継者に推戴することを公式化する段階に入っている」と分析し、「5月30日に両江道の党会議室で、金正雲同志を偉大な指導者金正日将軍様の唯一の後継者に推戴する事業を、全党的な事業として推進するための、党の働き手たちの協議会が開かれた」と伝えた。
消息筋は「市の党の責任書記の講演では、金正雲について金日成総合大学と金日成軍事総合大学を卒業して、特別な政治的リーダーシップと経済分野に対する豊かな経験を積んでおり、我々の革命武力を堅固にすることにおいて、輝かしい功績を積んだ偉大な将軍だと紹介した」と語った。
消息筋はこれと関連し、「金正雲が将軍様(金正日氏)の息子という事実は言わなくても、彼が三男で後継者に選ばれたという事実はみんな知っている」と言い、「金正雲を『36歳の若い将軍』と紹介した」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面金正雲の年齢が30代半ばと紹介されていることについては、これまで北朝鮮の内部消息筋を通じて何度も伝わっている。
このように実際よりも年上に見せているのは、金正雲は公式に後継者に推戴するには若すぎるため、業績が不足しているという指摘を避けるための意図が北朝鮮政府にあるためと思われる。金正雲が30代半ばといううわさは、去年12月中旬に金正日が慈江道を現地視察して、幹部の間に流れた話が世間に広まった。
「核実験」の成果を祝う群衆大会に続いて、「金正雲同志に従って学ぼう」という講演が行われている点から、最近立て続けに実施された北朝鮮のロケット発射や核実験などの連鎖的な挑発は、金正雲を後継者に推戴するための名分作りという見方が強まっている。