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北朝鮮のアリラン公演を取材するために15日から3日間、北朝鮮を訪問していたイギリスBBC放送のチャールズ・スキャンロン(Charles Scanlon.ソウル駐在特派員) 記者は、放送のウェブサイト(www.bbc.co.uk)で、取材の後日談を公開した。

スキャンロン記者は金日成の誕生日である15日に、BBCで平壌の現地から中継で放送を行った。記者はアリラン公演観覧後の2日間、北朝鮮政府が指定した平壌の観光地を見学した。

目に映った平壌は巨大な宣伝の都市であると同時に、徹底的な統制社会だった。どこに行っても監視員がついて来て、自由に写真を撮ることもできず、一般の住民との対話は徹底的に統制された。

特に監視員との関係を‘猫と鼠’に例え、旅行している間、始終監視を受けなければならない不便な状況を皮肉った。

最高級ホテルではエレベーターが頻繁に止まって、田畑では未だに牛がすきを引いている。にもかかわらず、ここの住民は故障した録音機のように、体制を称賛するかけ声を繰り返し叫んでいた。

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スキャンロン記者は北朝鮮の荒廃した姿を見つつ、‘ほんの数キロしか離れていない韓国の発展した姿’に思いを馳せる。‘彼らにも自由が与えられたら、思いきり自分の夢を広げることができるはずなのに…’と考えながら。

スキャンロン記者の北朝鮮訪問記の要約を掲載する。

◆ 旅行第一日目

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“北京を離れた高麗航空は(北朝鮮に対する)憐憫と好奇心を抱く外国人を乗せて北朝鮮に向かった”

携帯電話を入国審査台で没収されたが、誰も不平を言う人はいなかった。北朝鮮政府は私と他のイギリス人記者に通訳兼監視員を割り当てた。

一人は英語で話したが、桃色のチマチョゴリを着た若い女性は中国語を話し、残りの一人は外国語ができなかったが、英語と中国語を学びたいと言っていた。

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猫と鼠

こうした配慮はあまりよいことではなかった。猫と鼠の不可避なけんかは、北朝鮮訪問の特徴だ。

彼らの仕事はどこに行っても私たちについて来て、私たちが許されていない所を写真におさめようとした時に遮ることだった。実は都市全体がそうだった。逃げだす所はなかった。

平壌の広い大通りで咲き始めた桜が壮観であった。女性たちは明るい原色の衣装を着て、偉大な指導者の誕生日を祝うために、大規模なダンスを練習していた。彼(金日成氏)は巨大な壁画から彼らを謹厳に見下ろしている。

安い座席

私たちはアリラン公演の取材のために、公式的に平壌を訪問した。アリランは北朝鮮政府が必要とする外貨を稼ぐために企画したマスゲームだ。

私たちのガイドの1人はチケット1枚が、暗市場の為替では、彼らの1年の月給をはるかに上回る200ユーロと言い、笑いを抑えて振り返った。私たちは50ユーロの安い座席を選んだ。

公演はもちろんすごいものだった。‘マスゲーム’は北朝鮮の特殊分野。以前体育の教師だった人が、“この行事はあなた方の国をはるかに越えるものであり、私たち国民を結集させる意志の一部になった”と説明した。

白い服を着た千人余りの女性が、北朝鮮の完璧な地図を作り出した。纎細な表現もやりこなした。公演が終わった後、私たちは案内員を締め出し、平壌に居住する海外の勤務経歴者と偶然会った。ミャンマーで働いたある人は、自分たちは比較的自由に生活していると説明してくれた。

ここではすべての人が、都市を移動するために許可を受けなければならなかった。外国人は地方にいる知り合いの家庭を訪問することもできない。

◆ 旅行二日目

私たちは‘強制の都市’である平壌旅行にはまりつつあった。最初のコースは偉大な指導者が生まれた、美しい丘の公園だった。一種の聖地巡礼の場所だ。

女学生たち数人が一緒に到着した。彼女たちは茶色の軍服を着て完璧に足を合わせて行進した。北朝鮮のエリートの家である革命家の家族の子供たちだと聞いた。整列した少女たちがぺちゃくちゃしゃべりながら過ぎ去ると、ほっとした。

次は主体思想塔だ。北朝鮮の公式思想を記念するための巨大な石造の記念塔だ。

ジャングルの法則

外側には、75回目の誕生日までの偉大な指導者の一日一日を記念して、石のレンガがびっしりと積まれていた。

私は主体思想を話題にした。チェさんという女性ガイドは、大学の専攻で主体思想を勉強したという。彼女は“金日成と彼の息子金正日は、この国家の父と母”と私に言った。

また主体思想の基本的な原則は、人間が宇宙の主人ということと、人民大衆が革命を導いて進むということだと言ったが、その後は少し理解が困難だった。

チェさんは北朝鮮の核兵器プログラムに対して話す時、一層断固としていた。

“今日この世界はジャングルの法則が支配しています。私たちは非常に強く、他の国々は私たちを恐れています。私は彼らを打ち破ることができる武力と強い力を持っていると思っています.”

邪悪な帝国主義者

チェさんは最近、最初の子供を生んだ。3ヶ月になる娘だった。彼女は知的で品位があった。英語も驚くほどよくできた。もし彼女が韓国に住んでいたら、自由な雰囲気の中で勉強する学者や先生になることができたかも知れないと思った。

案内員たちは私たちが一般市民に声を掛けることさえ徹底的に遮った。

労働党記念館で案内員は金日成と彼の息子はこの国の父であり、母であると気品ありげに説明した。

いたずら気が湧いた私は“それでは二人のうち、誰がお母さんですか”と聞いた。

すると案内員は“金正日が朝鮮労働党と人民の母だ”とうれしそうな顔で説明した。伝統的な儒教の風土から出た、とても複雑な家族関係に違いなかった。

◆ 旅行三日目

私たちは今日非武装地帯に行く。しかし、ホテルのロビーで最初の難関にぶつかった。

私たちは平壌で一番高い建物であるというホテルの42階に泊まっていた。 しかし、エレベーターが上って来なかった。一度に上って来ることができずに、下る時も何回も止まった。

非常に遠くて遅い旅だった。私たちが通り過ぎた階は暗く、宿泊客もいなそうだった。

平壌に住んでいる外国人は、一年にも何度もホテルは門を閉めると言った。偉大な指導者の誕生日の祝いのため、招請されたり参加する外国人のために、埃を払い落とすというのだ。

私たちは市外に出て南に向かった。春の兆しがみられ、野原は緑色だった。

牛はすきを引いていたり荷車に利用されていた。女性たちは川で洗濯をしていた。こうした生活の姿は20年前の中国を思い浮かばせた。

見えない委員会

私たちは世界で最も技術的に進歩した国である韓国から、わずか数キロ離れた所に到着した。

国境地域の監視兵はとてもおしゃべりだった。彼は核交渉を破ったアメリカを罵っていた。彼の話し振りはとても陽気だった。

私が韓国に住んでいるという事実を知った彼は、“韓国の人々は統一を望んでいるのか”と聞いた。私は“韓国の多くの人々はおびただしい金額の統一費用を負担するよりも、漠然と待つほうがずっとましだと思っている”と答えた。

私たちの案内員と一緒に監視をし、通訳をする3人とは、良い関係を築いた。彼らは若く、経験も豊富だった。毎晩彼らは‘見えない委員会’と、私たちの訪問をどのようにするか、電話で議論していた。

彼らは車で写真が撮れないようにした。また真夜中に私たちを尋ねて来たりもした。彼らは親切でもあり、好奇心も強かった。

この若いガイドたちは彼らのいる現実に対してあまりにもよく分かっていた。しかし、彼らの生活のすべてを支配しているこの王国に対する尊敬と畏敬の念は、決して薄れることがないようだった。